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突撃リポート

人と地域、自然との繋がりを育む注目のボランティア団体!鳥居平ワイン倶楽部へインタビュー!

    
自らの手でブドウを育て、そのブドウを使ってこだわりのワインを造ってみたい。ワインに心奪われた人間であれば、誰もが叶えたい大きな夢のひとつでしょう。

実は今、その夢をあの勝沼で実現し、地域活性化にも貢献し続ける注目のボランティア団体がいます。それが、「鳥居平ワイン倶楽部」です。今回、鳥居平ワイン倶楽部の代表・栽培責任者である中田優一さんに、倶楽部の活動内容やこれからの夢などをお聞きしました。

Q.鳥居平ワイン倶楽部について教えてください。

「鳥居平ワイン倶楽部は、勝沼にある鳥居平の耕作放棄地を開墾し、畑を再生しているボランティア団体です。

立ち上げ当初より東夢ワイナリーさまにサポートしていただいています。

現在も、ブドウ栽培から委託でのワイン醸造をさまざまな方々のご協力を得ながら、素人たちで懸命にブドウ栽培を行っています」

Q.鳥居平ワイン倶楽部の活動は、当初からスムーズにいったのでしょうか?

5337「今、自分たちが開墾した畑でブドウを栽培し、そのブドウからワインを造れるようになりました。その味を会員の皆で楽しむことができていますが、ここまで到達するのにはとても苦労がありました。

現在、私は倶楽部の代表をさせていただいていますが、実は3代目なんです。発足時は『はぴはぴワイナリー』という名で活動をしており、私はまだ参加者の一人だったんです。

そもそも、2009年に発起人となる工藤さんと東夢ワイナリーの会長の高野さんとの出会いによってスタートした活動です。さまざまなご縁があり、畑を開墾させてもらえることとなったのですが、これがとても大変だったんです」

Q.畑はどのような状況だったのでしょうか?

「畑はぶどう祭りで鳥居の形に積み上げられた
護摩木に火が灯されることで知られる鳥居焼の真下にあります。

山の傾斜がきつく、高齢化が進み耕作放棄されてしまった畑でして、雑草が木になって1メートル先すらも見えないくらいの状況でした。草刈りがいつの間にか開墾になり、ノコギリやチェーンソーを使って木を切ったり、抜根したり、崩れ落ちた棚のワイヤーを撤去したり…。

さらに、ブドウは遅くても4月に植えないとその年に収穫できないために開墾を始めた1月から3月までに更地にする必要がありました。

とても人手が足らず、SNSなどのツールを使い、開墾をお手伝いしてくれる方を募集したところ、大勢の方から反応があり、どうにか畑をブドウ栽培ができる状況に間に合わすことができたんです。その後、苗木オーナーを募り資金なども集めて、ブドウ栽培をスタートさせました」

Q.ブドウは順調に育ってくれたのでしょうか?

「これがまた難しかったんです。品種は甲州だったのですが、地元の方が『甲州はほっとけば育つから心配するな』的なことをいわれていたので、安心していたんです。

しかし、6月頃になってもなかなか苗が大きくならず、どんどん小さくなっていきました。シカによる食害でした。ブドウの新芽は酸味があって美味しいんですね。ついには全滅してしまいました。

多くの人々の協力で耕作放棄地を開墾し、ブドウも育ててみたが、やはり素人には無理だったのか…。がっかりしてしまったのですが、このまま活動を終わらせてもよいものなのか…悩みました。

そして、当時の会員で話合った結果、『今までの労力とご縁を無駄にしたくない、もう一度頑張ってブドウを造ろう!』という意見にまとまり、これをきっかけに『鳥居平ワイン倶楽部』という名に改名したんです」

Q.鳥居平ワイン倶楽部に改名後、順調に活動を続けられていますね?

5335「2011年に甲州を植樹し直し、気持ちも新たに活動をスタートさせました。

そして、2012年に私たちの活動に転機が訪れたんです。ありがたいことに、山梨日日新聞から取材を受け、朝刊の一面に我々の活動を掲載いただきました。

都会から来た人たちが、地元の農地を復活させたと。周辺農家の方々や多くの人々の応援によって、活動を継続させることができるようになったんです」

Q.安定したブドウ栽培ができるいま、栽培へのこだわりはありますか?

「今、私たちの畑は99%が甲州です。他の品種ですが、甲州の苗に混ざっていたピオーネや、他の農家からいただいたマスカットベーリーAやピノノワール、タナがあります。

ちなみに、倶楽部の畑は西日が当たる斜面にあるのですが、2015年に栃木県のココファームさんを訪ねた時に、似たような形状をしていたんです。そこで目にしたのが、GDCというジェネバ・ダブルカーテンという仕立て法でした。

これに衝撃を受け、2016年から倶楽部の畑もGDCを採用したんです。うちの畑の甲州に関しては、こちらの方が良いと思っています。収量が減るリスクもあるんですが、常にチャレンジをやめず、最良のブドウを育てていきたいと思っています」

Q.醸造へのこだわりはありますか?

「醸造に関しては、委託醸造という形をとっています。

ただ、酵母のセレクトだけは行っていますよ。さまざまな酵母で造られたワインをチームでブラインドで試し、最も良いものをチョイスしています。ちなみに、D47という酵母がしっくり来ましたね。

味わいに関しては、ドライなテイストを心掛けています。ミネラル感に重量感がしっかりとある、それ一本でも飲めるようなワインを造っています」

Q.鳥居平ワイン倶楽部のワインはどのようなワインなのでしょうか?

5338「私たちが造ったこだわりのワインを、価値の分かる人へと伝えられたら嬉しいと思っています。ストーリーのあるワインを造り、その究極の一滴を楽しんでもらいたいです。

ラーメンの話で恐縮ですが、ラーメンもこれだけ多くの種類が出ているからこそ、究極の一杯を食べたいじゃないですか。

儲けのためにワイン造りをしていないからこそできる、贅沢極まる一本を造っていきたいです」

Q.鳥居平ワイン倶楽部のワインを飲むにはどうすれば良いですか?

「現在、倶楽部の会員になっていただいた方へワインを差し上げている、という感じです。我々は、ワインバック制度と呼んでいます。

倶楽部では、週末の畑仕事や、さまざまなワイン会なども開いているので、ぜひ、ご協力していただける方がいたらお気軽にお問い合わせいただきたいです」

Q.これからの活動、夢などはありますか?

「まず、私が大切に思っているのは継続するということです。

活動の継続もそうですが、まずは畑の継続が重要です。そして、収量も増やしていきたいです。もし、収量が増えたら同じビンテージのブドウをご賛同いただける複数のワイナリー様に醸造していただき、ワインに仕上がった時に水平飲みしてみたいですね。夢ですが…。

もちろん、ワイン会などをしたりいろいろな人々と縁を増やしていきたいです。山梨県全体のワインを盛り上げ、地域活性化にも貢献していきたいです」

マトメ

荒れ果てた、危険ともいえる耕作放棄地を開墾するところからスタートし、失敗を繰り返しながらも、素晴らしいワインを生み出した鳥居平ワイン倶楽部。

インタビュー中、中田さんは何度も「僕ら素人ですから」と、何度も繰り返していましたが、数々の苦労と努力のお話から「もう素人の域は越えているのでは?」と、思わずにはいられませんでした。

「ストーリーのあるワインを造りたい」。倶楽部の皆さんのこの思いこそが、品質の高いワインを生み出し、さらには周囲の人々に感動を与えるのではないでしょうか。

まだまだ、鳥居平ワイン倶楽部の挑戦はスタートしたばかり。しっかりと、彼らのワイン造りや活動に注目し続けましょう。
       

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◆参考
鳥居平ワイン倶楽部 http://katsunumawine.com/
   
    
       

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