【ワインのおしごと_Vol.1】 ワイン研究機関「AWRI」の早坂洋司さんに聞く!|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

突撃リポート

【ワインのおしごと_Vol.1】 ワイン研究機関「AWRI」の早坂洋司さんに聞く!

   
ワインに関わる仕事をしている人たち。ここから連想されるのは、ソムリエやワインショップのスタッフ、生産者といったところでしょう。こういった方々のおかげで、私たちは普段から美味しいワインを飲むことができているわけですが、実は1本のワインが私たちの手元に届くまでに、多くの人たちが関わっています。

そこでカーヴでは、ソムリエやワインショップスタッフ、生産者さんたちだけではなく、ワインに関わる仕事をしている、さまざまな人たちを紹介していこうと思っています。

今回は、ワイン研究機関として世界的に知られている、オーストラリアの「The Australian Wine Research Institute(AWRI)」で勤務されている早坂洋司さんにお話を聞いてきました。

Q.ご職業を教えてください。

9770「オーストラリアのアデレードにある、The Australian Wine Research Instituteに勤務しています。」

Q.どのようなお仕事内容なのでしょうか?

「Senior Research Scientistとして働き質量分析(Mass Spectrometry)が専門です。仕事の内容は、ブドウとワインの存在する物質の構造解析と定量法の開発、さらにOff flavourや汚染物質の問題の対策研究を行っています。」

Q.なぜ、ワインに関わる仕事をしようと思われたのでしょうか?

「特に理由はありません。オーストラリアでは、日常的に仕事・職種を変えステップアップしたり、経験・実積を高めていくのが普通です。新聞や専門誌の求人情報で職探しをしますので、日本のように4月に新入社員が一斉に入社する風景は見られません。

私の場合、移民者でこちらにネットワークが無い渡り研究職人ですので、腕を買ってくれるところならどこでも飛んでいきます。ワインの研究職の求人をみた時、薬物や石油関連物質を相手にしているより、人畜無害で楽しそうだし、仕事でも飲まざる得ないと嫁さんにエクスキューズもできると考えたかな(笑)」

Q.今いる職場に就かれるまでのご自身の経歴をお聞かせください。

「日本では、30才過ぎまで薬品会社の研究開発部門で働いていました。オーストラリアでは、薬科大学などを勤務した後現職を得ました。両親が東北の出身で、お酒を飲む当たり前の環境で育ちました。

子供のころ、両親の目を盗んで甘い赤玉ポートワインを飲み、成人してからはしゃれたレストランで、彼女とワインを飲みながら軽くお食事をする機会は皆無。場末の酒場で安酒をひたすら飲む寂しい青春でしたので、ワインとは縁がありませんでした。ただ飲むことは生活の一部でした。」

Q.大変だったことや、やりがいは何ですか?

「ワインの研究はドイツ・フランスを中心としたヨーロッパ勢とアメリカとオーストラリアがフロントランナーです。当然研究テーマも似ており、競争になるわけです。そんな中で、一歩進んだ研究成果を出したときは、アジア人の鼻も少々高くなります。
また、個別のワイナリーや産業全体が直面する技術的問題の解決に貢献できた時は、達成感がありますね。

Q.具体的にはどのような研究で貢献できたと思われますか?

9769「最近では、山火事よる煙のブドウに対する影響の研究です。地球温暖化のせいか、世界各地で大きな山火事が頻発しオーストラリアは特に多い状況です。煙を被ったブドウは、煙成分を取り込み、そのブドウでつくったワインはスモーキーな臭いと、まずい後味が残ります。

ひどい場合は、売り物になりません。そこで、煙を被ったブドウやそのワインがどの程度煙汚染されているか、評価する方法を開発しました。それにより、ブドウの収穫の段階でワインづくりに適してるか否かの判断に役立てば、と考えています。

2005年にBiology部門でイグ・ノーベル賞をもらいました。考えてもいなかった事が起き、人生にはこんな日も有るんだと感慨し、自分の技術が何かしらの貢献したことに、我人知れづ微笑みました。」

Q.ワインを『仕事』として扱うようになってから、ワインに対するイメージは変わりましたか?また、変わったのであればどのように変わりましたか?

「そうですね、例えば、サッカー観戦。漫然と見ていたゲームが、ルールを知り、必要な技を知り、選手の特徴を知り、戦術を知りそして贔屓のチーム・選手が出来ることで、ますます楽しみが広がる。ワインに関しても同じですね。」

Q.仕事を続けているモチベーションは何ですか?

「私はもう仕事人としては、そろそろ終活期。仕事が趣味化しています。」

Q.普段、お酒は飲まれますか?

9771「ワインに限らず、人間とお酒の係わりは面白いですね。人間は大昔から飲んでいる時のの自己顕示欲の高揚と、翌朝・前夜の言動に対する自己嫌悪を繰り返して生きてきています。私もしっかり、大昔からの歴史の繰り返しに参加しています。」

Q.お気に入りのワインの楽しみ方があれば教えてください。

「一応、オーストラリアのワイン産業から研究資金をいただいている為、矜恃として個人の好みの銘柄は勘弁。ただ言えることはオーストラリアのワインを楽しんでください。」

Q.アナタにとって「ワイン」とは、どんな存在ですか?

「仕事と趣味を限りなく接近させてくれる媒体です。」

Q.今後の目標があれば…

「ワインをはじめ、お酒を楽しみ、健康維持!」

取材を終えて

世界でも最先端のワイン研究を行っている、「The Australian Wine Research Institute(AWRI)」。そんな場所で活躍し続けている早坂さんですが、2005年にBiology部門でイグ・ノーベル賞を受賞されていたとは知りませんでした。

さらに仕事が趣味化というところも、何とも羨ましい限り。ぜひ、今後も早坂さんの活躍を追い続けていきたいと思います。

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ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

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