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豆知識

知っておくべきワインのヒミツ!アルコール発酵について考え直そう!

    
ワインを醸造する際、絶対に外せない工程があるとしたら、一体どこの工程か分かるでしょうか。樽熟成、マロラティック醗酵、スキンコンタクト、澱下げ、撹拌…。

メーカーが意図するワインのスタイルによっても違いはあるでしょうが、間違いなく「アルコール発酵」の工程に関してはスルーすることは不可能です。

そもそも、ワインがワインであるためには「お酒」である、ということが前提であり(ノンアルコールワインは無視してください)、アルコール発酵はワインにとって重要な工程です。今回、今更ながら初心に立ち返り、「ワインのアルコール発酵」についてを、学んでいきましょう。
   

アルコール発酵とは?

8148ワインは、特殊な例を除き、ブドウのみを原料として造られる醸造酒とされています。ソムリエ教本をはじめとしたワイン関連の教本には、“ブドウ中の糖分を、酵母のアルコール発酵によってエチルアルコールに変えた飲料”がワインである、と記載されています。

もう少し詳しく見ていくと、ブドウ中に含まれるブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)が酵母の働きよって、エチルアルコールと二酸化炭素を生成する、という流れになります。

ソムリエやWSETの資格試験では、他にもっと覚えなければならないことがあるので、詳しくアルコール発酵についてのページを割いてくれませんが、実はアルコール発酵はとても複雑で神秘的です。

こんなことがナチュラルに行われている

8146では、どれだけ本当はアルコール発酵過程が複雑なのかを、みていきましょう。
とりあえず、マストに天然酵母、培養酵母をぶち込んでおけば、アルコール発酵するんだよね。じゃぁ、次行きましょう!と、なる方が大半だと思いますが、少々お待ちください(面倒な方は飛ばしてください)。

アルコール発酵が起こり、ワインとなっていく、という工程は実はとんでもなく複雑であり、ある意味で人智を超えている作用です。

まず、マスト中にはグルコースが存在しています。それが、2分子のATPにより分裂し、脱水素酵素によって水素が二つ奪われ、2ATPが発生することでピルビン酸ができます。ここまでが、解凍系と呼ばれる過程です。

この解凍系を経た過程に次に、脱炭素酵素の働きよりCO2を抜くため、アセトアルデヒドという物質が生成されます。この時、解凍系時に奪われた水素が返還され、結果的にC2H5OHという、“エタノール”が生成される、という流れです。

もちろん、より複雑に説明すればキリがありませんが、これだけでも眠くなる要素がたっぷり詰まった複雑な過程です。必ず、とは言い切れませんが、大抵は滞りなくこの醗酵工程が起こるわけですから、自然の力とは凄いとしか言いようがありません。

主役は酵母

8145ワインのアルコール醗酵は殆どが滞りなく進む、とお伝えしましたが、それを可能にしているのは酵母です。マストに酵母が存在していないのであれば、アルコール発酵は起こらず、ただのブドウジュースのままマストは長い月日を過ごすことになります。

よく天然酵母や培養酵母ということで、ワインの善し悪しが議論されていますが、それは全てこのアルコール発酵時に関係している話です。酵母に関しては、別の機会に詳しくお伝えしますが、酵母はもともとブドウの果皮、表層のワックス部分に存在しています。

畑から、セラー内に存在する、とも言われていますが、ひとまずはこの部分と理解しておけば良いでしょう。酵母としては、クロエケラ、ハンセニアスポーラ、カンジダ、クリプトコッカスなどが存在しており、そのほか、細菌やバクテリアも共存しています。

ただし、アルコール発酵中が始まると、アルコールの濃度や放出される熱などに耐えられず、殆どの酵母が死滅してしきます。最終的にアルコール発酵で残る酵母が、あの“サッカロミセス・セレヴィシエ”であり、アルコール耐性が強いために、最後まで生き抜くことができ醗酵を牽引し続けるというわけです。

これら、酵母はそれぞれに何かしらワインに香味に関わっていると思われており、彼ら無しではワインは造ることができない、最重要素材たちなのです。

天然酵母と培養酵母って何?

8147さて、前述したようにブドウには天然酵母がたっぷりと付着しているため、“ブドウを潰して放置しておけば、勝手にアルコール発酵が始まってワインとなる”というのも、間違ってはいません。

ただし、天然酵母を使用したワイン造りにはリスクが多く、醗酵が遅れてバクテリアにやられたり、酵母がちゃんとした働きをしてくれずにスタックファーメーション(醗酵がストップしてしまう)が起きたり、pH値が高くなり過ぎてブレタノミセスに汚染される可能性が増えたりと、かなりリスキーといわれています。

ただし、醗酵が始まるまでに時間がかかることでフェノール化合物が酸素と反応しやすく、色の安定化及び柔らかいストラクチャーが得られるという利点もあります。培養酵母は、一方で狙った酒質にできるわけですし、醗酵時間など細かなところまで計算して造ることができます。

もちろん、面白みに欠ける…という、点は否めません。アルコール発酵をする際、天然酵母や培養酵母かさほど気にしない方も多いと思いますが、醗酵の理屈をある程度知っているとワインの味も、ひと味違って楽しめるわけです。

醗酵によってワインの香りが決定する?

8144最後に、アルコール発酵がどれだけ大切な要因なのかを説明して終わります。

例えば、マスカット系のブドウの果皮にはモノテルペンという、その品種の特徴香を放出する成分が含まれています。しかし、この殆どは糖と結合した形となっており、アルコール発酵中、酵母の働きによって分解され、香りとして現れます。つまり、アルコール発酵をしなければ、リースニングもピノ・グリ、トロンテスなどの香りは一切現れない、ということなのです。

またフルーティーな要素の大半を占めるという酢酸エチル、イチゴのような香りを呈する分岐エステル類、バラの香りなどを放つ2-フェニルエタノールなどの高級アルコール類、さらにミネラリティの要因ともいわれている揮発性硫黄化合物など、酵母の働きより作られているのです。

当然、酵母の菌株によって働きにバラツキがあり、より良い香りを出す菌株の研究が続けられています。ワインの香りの大半は、アルコール発酵中に発生している、ということを覚えておきましょう。

見過ごされがちなところに目を向ける

ワインというと、全てテローワルに話題が持っていかれてしまいます。しかし、研究者や一部のワインメーカーの中にはテロワールを大切にしていながらも、それを否定する人も少なくはありません。

それは、アルコール発酵の方法、酵母のチョイスの仕方、保存方法でワインの味わいがかなり変わってくるからです。もちろん、ワインの善し悪しはブドウで決まることは間違いありません。

ただ、結果的に優れたワインには、こうった醸造法にもヒミツが隠されている、ということです。ぜひ、あまり注目を浴びない、影の部分にも着目してワインを楽しんでみてください。
   
    

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