日本を代表するワイン銘醸地のひとつと言えば、山梨県。日本の全ワイナリーのおよそ3分の1が集中しているワイン大産地であり、甲州種ぶどうの栽培にいたっては全国の9割を山梨県で占めています。
さて、そんな山梨県でワインが造られている地域で真っ先に思い浮かべられるのが「勝沼」ではないでしょうか。
1877年に民間ワイナリーが初めて創設されて以来、山梨はもちろんのこと日本のワインシーンを牽引する存在として現在でも有名な産地です。
しかし、近年ではより冷涼な産地を求める動きが各ワイナリーや大手企業の中で始まっています。ここでは、ワイン産地として有名な山梨県の新しい注目すべき産地を紹介します。ぜひ、覚えておいてください。
北杜市がいま一番勢いのある名産地
「勝沼ぶどう郷」という駅があるほどにぶどう栽培が盛んな勝沼。甲州種をはじめ、デラウェアやマスカットベーリーAなど、ワイン用ぶどうや生食用ぶどうなど数多くの品種が栽培されています。
しかし近年、国際品種にも力を入れて、より一層山梨県のワイン産業を盛り上げていこうという動きが、各ワイナリーはじめ日本ワイン産業の中で叫ばれている背景があります。そのためか、全国的に冷涼な気候の産地が求められており、山梨県内でもその動きが活発化しています。
そんな中、勝沼に変わる注目の産地が北杜市と言われています。特に北杜市西部の明野村(あけのむら)には、大手ワイナリーをはじめとしたさまざまなワイナリーがブドウ農場を持っています。明野エリアは、日照時間日本一を誇る場所であり、標高が700mを超える場所もあるなど寒暖差が大きな産地です。
年間の降水量も比較的少なく、ブドウ生育期には穏やかな南風が通ります。そして、ブドウ畑に傾斜をつけることにより水刷けと日当りが良好になり、より健全で良好なブドウを生むことができるのです。
明野エリアでは、甲州種やマスカットベーリーAなどの土着品種はもとより、カベルネソーヴィヨン、カベルネフラン、シャルドネ、メルロー、ソーヴィニョンブランなどのヨーロッパ品種の栽培が成功しています。
ちなみに、明野エリアはひまわり畑で有名な場所ですので、日照量が多く、ブドウ栽培に適している産地ということが良く分かりますね。
南アルプス市が凄いことに!?
山梨県の中西部に位置する南アルプス市。生食用ブドウ栽培は行われていたものの、ワイン産地としては全く日の目を浴びていませんでした。
しかしながら、近頃ではワイン関係者がこぞって南アルプス市のワインに注目をしています。この場所は、国内最大級の扇状地による緩やかな傾斜地が広がる地形です。そのためか、醸造用ぶどうの甲州種やマスカットベーリーAなど高品質なものが生産されているのです。
理由としては、とても水刷けの良い干ばつ地域であるということ。南アルプスを背にした東向きの斜面なので、朝日が早い段階から浴びられることで日照量が多いことが挙げられます。
実は、この条件自体、ボルドーをはじめとした世界のワイン銘醸地と同様であることが判明したのです。まだ未知の領域ではありますが、徐々に高品質なワインが少量ながら生産されているワイン業界注目の産地となっているのです。
まとめ
ここに挙げた産地以外では、甲府市の中心部なども高品質なワインを生産していることで有名です。話は少し変わりますが、ロマネコンティ、モンラッシェ、ジュヴレ・シャンベルタンなど名立たる名門畑があるのは、フランス・ブルゴーニュ地方のコート・ドール県です。
コートドール県内には、コートドニュイのロマネコンティ一択だけでなく、同じ県内ながらさまざまな名醸地があり、各所に個性豊かな素晴らしいブドウ畑があることは、みなさんも良くご存知だと思います。日本の銘醸地と言われる山梨県だからこそ、勝沼一択では無く、さまざまなワイン産地があることが日本ワインの底上げにも繋がっていくのではないでしょうか。
ぜひ、みなさんも山梨県の各産地に足を運び、産地ごとのワインの味の個性の違いを楽しんでみてください。
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ナカゴミ コウイチ
ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。
ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。