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ワイン事情

イタリアのライフ・スタイルとワイン①

     
こんにちは。フィレンツェ在住の温泉ライター、竹村和花です。
     
イタリアの温泉ライター×ワイン?何だか不思議な取合わせに聞こえますよね。
でも、温泉もワインもイタリアの自然の中で長い時間をかけて育まれた文化のひとつ。
そしてイタリアの人びとの暮らしの中で絶対に欠かせないもの、それがワインと自然です。
     
でも本当のイタリア。
生きている今のイタリアで、人々はどんなふうにワインを楽しんでいるのでしょうか。
  
今日はイタリアの温泉に恋をして、フレンツェにたどり着いた私が見たイタリアの今。
彼らにとっては日常的な“ワインのある暮らし”や、人びとのライフ・スタイル、それに、
何よりイタリア人の愛する自然とのかかわりについて、紹介してみたいと思います。
 

温泉×ワインのエレガントでフォーマルな関係

3412イタリア国内には、古代ローマやエトルリア時代から受け継がれた歴史深い温泉が200ほどあります。
そして、それぞれの温泉地には、古代から引き継いだ町への誇りと華やかな文化が残されています。
   
リストランテはフォーマルな場であり、カメリエレ(ウエィター)とは互いに敬意をもって貴方(LEI)で表す敬語で話します。
そして、温泉地のホテルやリストランテにおけるワインとお料理との素敵なマリア―ジュは特別な意味を持ちます。
イタリアでは、こういったフォーマルな場においてワインのセレクト・センスは1つの教養として評価されます。
      
そのため、お料理にぴったりのワインをセンス良く選ぶゲストには、カメリエレも心から最高の賛辞を贈ります。
    
“PERFETTO!! MOLTO ELEGANTE! BELLISSIMO”   
完璧です、素晴らしいセレクトです。実に素晴らしい、というふうに。
 
(Photo By waka.TAKEMURA©)
    

イタリアの温泉に恋して

3411少し話しがそれますが、私がヨーロッパに拠点を移したのは2008年。
きっかけは、それまで連載していた「温泉コラム」を通して知った日本の温泉が抱える課題(温泉掘削と源泉の枯渇/源泉保護)がきっかけでした。
こういった温泉の課題を、ヨーロッパではどのように解決しているのだろう?そう思ったことが始まりです。
    
それからの1年は、ドイツを起点にオーストリア・スイス・フランス・スペイン・ハンガリー・チェコ・ベルギーなど、ヨーロッパ中の温泉を取材して周りました。
歴史的な温泉地はもちろん、時には日本人が名前も知らないような温泉に出かけて源泉やそれらをとりまく自然環境、そして法律的な背景を調べて周ったのです。
そしてこの温泉取材の最後に、私は半ば偶然のようにしてイタリアの温泉に出会いました。
   
それはひっそりとした山あいにありながら、生命力にあふれ、生命の輝きそのものでした。
美しく、力強く、滝のようにごうごうと湧き出していたのです。
私はおどろき、心奪われ、言葉を失いました。
そして、この温泉の姿そのものが、私の探していた答え。日本の温泉の課題を解決する最もシンプルで美しい答えでした。
まばゆいばかりの陽射しの中で見たイタリアの温泉。その温泉に恋して、私のイタリア暮らしが始まりました。
    
イタリアの温泉の姿やその本質的価値について語れる人は決して多くはありません。
けれど最も大切なことは、イタリア国内に現存する温泉の95%以上が、今も大地を割ってあふれ出す、自然本来の美しい温泉の姿を残しているということです。
日本の場合、残念ながらこういった自然湧出の温泉は既に25%以下にまで減っています。
    
イタリアの温泉が今も豊かな地下水源を宿している背景には、
彼らの愛する自然――自然景観や伝統的ともいわれる広大な風景を、世代を超え時代を越えて受け継ぎ、守り続けてきた果てしない愛と努力があります。
    
自然を守ることは、時には不便で、道路1本作るにも経済的なコストがかかりますが、
イタリアの町や田舎の、ため息をつくような美しい風景の1つひとつに、
彼らが不便を承知で規制し、コストをかけてでも守り続けている法律があります。
その規制は細かく、時に窓枠の色や形、伝統様式の継承や素材にまで及びます。
けれど、彼らは知っているのです。
自然にしろ、風景にしろ、どんな小さなものであっても、
守ろうとしなければ何も守れないし、残そうと思わなければ簡単に失われてしまうものだ、ということを。
    
今思えば、あの日。日本の温泉の持つ課題に目を向け、ヨーロッパを取材しなければ、
イタリアの大地に湧く美しい温泉に出逢うこともなかったでしょうし、
フィレンツェに住むことも、イタリア語を学ぶこともなかったと思います。
そして、こんなにもイタリアを好きになってしまうことも、
エレナやジョゼッペ、マリオやフランチェスカとも永久に出会うことはなかったと思います。
    
今週末は、ちょっぴり優雅な気分になってリストランテのワインを楽しんでみませんか?

ALLA SALUTE DI TUTTI !! BUONA GIORNATA.
乾杯!今日も素敵な一日を

(Photo By Kousuke.KIHARA©)
    
    
     

CAVE THE SELECT
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竹村 和花
社)日本旅行作家協会・正会員。温泉学会・理事/温泉研究家 【イタリア】アクア・ミネラーレ協会・正会員。同協会の認定する水・ソムリエ&水の鑑定士。 温泉研究が高じてフィレンツェ在住に。イタリアの人々の自然との距離感やライフ・スタイル に共感し、帰国時には“生きているイタリアの今”を伝えるカルチャー講座を開催しています。

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