こんにちは。ブルゴーニュ在住のワイン好きライター、KIKIです。
ワイン好きにとって1月のブルゴーニュと言えば「サン・ヴァンソン トゥルナント(Saint-Vincent tournante)」と呼ばれるワイン祭りです。
毎年異なる村で1月の下旬に開催されます。
2015年は1月24日、25日の週末に、クロ・ヴージョで有名なヴージョ村とその隣のジイィ・レ・シトー村で行われました。
時期的に天候があまり良くないことも多く、毎年行くかどうか直前まで迷います。
今年の場合、土曜日は雪が降りましたが、日曜日は何とかちょっとマシになったので、ヴージョ村に行ってくることができました。
そこで、今回はサン・ヴァンソンの説明を交えながら、ワイン祭り中のヴージョ村の様子をご紹介したいと思います。
サン・ヴァンソンって?
「サン・ヴァンソン」というのは聖人の名前です。
なぜサン・ヴァンソンの日にワイン祭りを行うかというと、この聖ヴァンソンさんがワイン農家、ワイン醸造家の守護聖人だからです。
すべての職業に守護聖人がいるわけではないようですが、音楽家の守護聖人であるサン・セシルや、パン職人の守護聖人サン・トノレなどは比較的有名です。
キリスト教文化が色濃く残るフランスでは、今でも多くのカレンダーに聖人の名前が並んでいます。
これは、1年365日それぞれの日付に特定の聖人を関連付けたもので、日本のカレンダーに「大安」や「仏滅」などの六曜が記載されているような感じです。
余談ですが、フランスでは1981年までフランスで生まれた子どもはカレンダーに載っている聖人の中から名前を選ばなければならないという原則があったため、現在35歳以上のフランス人は同じ名前の人がたくさんいます。
サン・ヴァンソンの日は正確には1月22日なのですが、平日にお祭りを開催してもあまり集客が望めないからでしょうか、近年では1月22日に一番近い週末にワイン祭りを行っているようです。
サン・ヴァンソン トゥルナントの始まり
サン・ヴァンソンのワイン祭りは、「ラ コンフレリー デ シュヴァリエ デュ タストヴァンla confrerie des chevaliers du tastevin」という団体が1938年から始めたとされています。
この団体、日本語では「ブルゴーニュ利き酒騎士団」と呼ばれているみたいです。
タストヴァンというのはテイスティング用の小さなカップのことなので、そこから利き酒という訳が出てきたのでしょう。
タストヴァンは、銀色のちょっと深めのスプーンのようなもので、ボーヌのワインカーブで試飲をするともらえます。
個人的に普通のグラスでテイスティングする方が好きなので、家にあるタストヴァンはロウソクを置いたり、来客用の灰皿にしたりしています。
利き酒騎士団のメンバーに選ばれると、このカップの持ち手にリボンを通して首からメダルのように提げます。
2015年は交通規制や廃駅の復活まで!
ブルゴーニュ利き酒騎士団によって始められたサン・ヴァンソンのワイン祭りは、テイスティングができるようになったり、記念グラスが作られるようになったりして、どんどん注目を集めるようになります。
1990年代の終わり頃から2000年代始めには2日間に10万から20万もの人が集まる人気のワイン祭りになりました。
ただ、規模が大きくなりすぎて運営や予算が追いつかなくなったため、お祭りの存続が危ぶまれたこともあったそうです。
今年のワイン祭りは、ヴージョ村というブルゴーニュワインファンにとっては憧れの土地で開催されるということで、例年より訪問者が増えるのではないかと予想されていました。
そのため、お祭りが開催された週末は村を通る車道をすべて通行禁止にしたり、ヴージョ村とジイィ・レ・シトー村の間にある駅を特別に復活させたりと念入りに準備をしたそうです。
ワイン祭りのために、列車の車両を増やしたり、最寄り駅に停車させたりするなんて、さすがワイン王国ブルゴーニュ、という感じがしますよね。
まだ実際の村の様子までたどりつけていないのですが、長くなってきたので一旦ここで区切らせていただきます。
見事にデコレーションされたヴージョ村の写真は「サン・ヴァンソン トゥルナント2015(後編)」に登場する予定です。
一先ず今日はこの辺で。
A VOTRE SANTE!(乾杯)
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