こんにちは。ブルゴーニュ在住のワイン好きライター、KIKIです。
毎年11月の第3日曜日にボーヌでは、大規模なワインオークションが開かれます。
ワインファンには有名なイベント、いわゆる「栄光の3日間」はオークションの開かれる日曜日を挟んで土曜日から月曜日のことを指し、2014年は11月15日から17日でした。
今回で第154回目という歴史のあるこのイベントは、世界でも最大級のワインオークションです。
2014年ブルゴーニュワインの印象
ブルゴーニュに住んでいながら、なぜか毎年予定が入ってしまい、実際に参加したことがないのですが、ニュースを見る限りでは、今年も例年通り世界中からワイン関係者が集まり、大盛況の内に幕が下りたようです。
オークションの落札価格の合計は、過去最高の800万ユーロだと報道されていました。
昨年よりも高値がついているので、2014年のワインは期待できそうです。
オスピス・ド・ボーヌのオークションに合わせて専門家が出したコメントによると、「今年の夏は気温も低く、湿度も高かったが、9月に入って天候に恵まれたため、最高の状態でブドウを収穫することができた」とのことです。
来年以降2014年のワインが市場に出回るのが楽しみですね。
オスピス・ド・ボーヌのレジサー(REGISSEUR)とは?
今年のオークションの話題の一つは、15年間オスピス・ド・ボーヌの醸造責任者(REGISSEUR)を勤めてきたROLAND MASSE氏が2014年12月末で退職するということでした。
彼が携わったオスピス・ド・ボーヌのワインは今年が最後ということで、ネット上にもいくつかインタビューがアップされていました。
レジサー(REGISSEUR)というのは、「そのドメーヌのワイン造りに関わっている人たちの中で一番偉い人」ということなので、便宜上「醸造責任者」と訳しましたが、ひょっとしたら別に専門用語があるかもしれません。
多少違いはあると思いますが、フランス人に話を聞いた感じでは、日本酒の世界でいう「杜氏」みたいな存在のようです。
私が特に注目したのは、ROLAND MASSE氏がコート・シャロネーズの出身であるというくだりでした。
我が家のお気に入りのドメーヌの一つが、DOMAINE MASSE PERE ET FILSという名前なので、ただ単に同じ名前なのか、親戚筋なのか調べてみました。
DOMAINE MASSE PERE ET FILSはジヴリーのすぐ近くにあるバリゼという小さな村にあります。
すると、なんとDOMAINE MASSEの「お父さん」が、オスピス・ド・ボーヌのROLAND MASSE氏の兄弟で、現在ドメーヌの当主となっている「息子」さんの方は、ROLAND MASSE氏の甥であることが判明。
ホスピス・ド・ボーヌのワインが洗練された都会的なイメージであるのに対し、DOMAINE MASSE のワインは素朴で親しみやすい雰囲気であるため、ちょっとビックリしましたが、クオリティーの高さは共通しています。
ROLAND MASSE氏はホスピス・ド・ボーヌを退職後、甥のFABRICE MASSE氏と立ち上げたネゴシアンの事業に携わるようなので、こちらの方も非常に楽しみです。
(Photo: http://cavewine.net/rv/2064)
新責任者は若き女性!
なお、ROLAND MASSE氏の後継者として、2015年1月に新しくオスピス・ド・ボーヌの醸造責任者に就任するのは、なんと36歳の女性、農学者でワイン醸造家でもあるLUDIVINE GRIVEAU氏。
インタヴューによると、彼女は2004年からシャトー・コルトン・アンドレで醸造責任者を務めてきた実力者であると同時に、3人の子どもの母親で、熱帯地域で行われるラリーに参加するほどアクティブなスポーツウーマンだそうです。
オスピス・ド・ボーヌという歴史のあるメゾンが醸造責任者に若い女性を指名するというのは、フランスでも「勇気ある決断」としてメディアで取り上げられています。
日本よりマシだと言われることもありますが、実際に住んでいるとフランス社会はまだまだ男性中心だなという気がします。
ブルゴーニュでは女性醸造家も増えてきているので、年齢や性別に関わらず実力のある人がどんどんワイン業界を引っ張って行って欲しいなと思います。
2014年のミレジムにROLAND MASSE氏が加わるDOMAINE MASSE、オスピス・ド・ボーヌの新醸造責任者、とブルゴーニュワインの明日が楽しみな話題をお届けしてみました。
それでは今日はこの辺で。
最後まで読んでいただいて有難うございました。
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■参考URL(日本語以外のサイトです)
ROLAND MASSE(ロラン・マッス)氏のインタビュー①
ROLAND MASSE(ロラン・マッス)氏のインタビュー②
ROLAND MASSE(ロラン・マッス)氏のインタビュー③
LUDIVINE GRIVEAU(リュドヴィン・グリヴォー)氏のインタビュー①
LUDIVINE GRIVEAU(リュドヴィン・グリヴォー)氏のインタビュー②
LUDIVINE GRIVEAU(リュドヴィン・グリヴォー)氏のインタビュー③
