11月のワイン畑
こんにちは。ブルゴーニュ在住のワイン好きライター、KIKIです。
11月に入って肌寒い日が続いています。
つい最近までサンダルをはいていた気がするのに、もうロングブーツの季節です。
霧が晴れない薄暗い日は思わず憂鬱になりますが、ブルゴーニュらしいと言えば、とってもブルゴーニュらしいと言えます。
場合によっては何週間も霧が出たままだったり、霧が濃すぎて3メートル先が見えないなんてこともありますが、霧に包まれた幻想的な雰囲気には、別の世界に迷い込んでしまったような不気味な美しさがあります。
Taille d'Hiver:冬の剪定
そんなブルゴーニュではブドウ畑も休眠期に入ります。
一年の集大成である収穫を終え、紅葉を経て、寒くなればなるほど丸裸になっていくブドウ畑。
11月から3月の休眠期に行われるのがタイユ・ディヴェール(TAILLE D’HIVER)と呼ばれる冬の剪定です。
美味しいワインを造るためのブドウは、決して「ほったからし」では出来ません。
ブドウの樹を放置すると、どんどん大きくなって四方八方に枝が広がり、数多くのブドウができますが、どれも房が小さくて、味も薄いものになってしまうそうです。
房は大きく、美しく、果汁たっぷりで味も濃い、そんなブドウを作る素晴らしいブドウ畑にするには、人の手を加え、丁寧に面倒を見ることが必要なのです。
ブドウ畑との対話
●ブドウ畑との対話
ブドウ栽培の中でも特に重要だと言われる冬の剪定では、次の年にブドウの実を育てるための枝だけ残して、それ以外を枝を切り落とします。
剪定作業をすることで、来年収穫するブドウの数や質を調整しているわけです。
どの枝を残して、どの枝を切るのかという判断は決して簡単ではありません。
どの枝を残すかという判断が、次の年のワインの品質に大きく影響するからです。
基本的には土から栄養を吸収しやすい根に近い部分の枝を選ぶそうですが、枝の伸びる方向や周囲とのバランスを考える必要もあります。
ブドウ栽培をしている知り合いは、一本一本枝を確認しながら手作業で行うこの作業が一番ブドウ畑と対話をしている気分になると話していました。
そんな根気の要る作業を冬の寒い時期にするのですから、冬の剪定がブドウ畑の仕事の中で一番重労働かつ神経を使う仕事だと言われるのも納得です。
ちなみに、一人一日当たり平均800本程度のブドウの樹を剪伐するらしいです。
本当に気が遠くなりそうな作業ですよね。
ブルゴーニュ冬の風物詩
この冬の剪伐は、ブルゴーニュ地方ではだいたい2月や3月によく見かけます。
冬の剪定の前段階として、今年度ブドウを収穫した枝を切り落とす、予備剪定や秋の剪定をすることもあるようです。
冬にブドウ畑から煙が上がっているのを見かけたら、それは剪定した枝を燃やしているサインです。
ブルゴーニュに来た最初の頃はあちこちで煙が上がっているのを見て、火事かと思ってビックリしたものです。
今日ご紹介した写真は、2014年11月2日にムルソーのブドウ畑で撮影したものです。
なんと、もうすでに剪定を終えているところもありました。
温暖化の影響で時期がズレているのか、何か実験的な試みをしているのか、人手がある時に順次剪定をすることにしているのかは謎ですが、縦に1本伸びるタイプの剪定でした。
ワインの勉強をしたことがある方はご存知だと思いますが、ブドウの剪定の仕方には様々なタイプがあります。
別の剪定をしている畑を撮影できたら、またご紹介させていただきますね。
ちなみに、ブルゴーニュで一般的なのは、ギュイヨ・サンプルと呼ばれるタイプです。
冬のブドウ畑は寒々しくて、何となく寂しい感じがしますが、それでも剪定作業の話などを聞くと、自然の生命力のようなものを実感できて、ワインの原料であるブドウがより有難く思える気がするのです。
それでは今日はこの辺で。
最後まで読んでいただいて有難うございました。
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