こんにちは。ブルゴーニュ在住のワイン好きライター、KIKIです。
だんだん秋らしい日が多くなってきました。
日本でも秋は収穫の季節なので、あちこちでお米の収穫を祝う秋祭りが行われていますよね。
ブドウの収穫、ヴァンダンジュという一大イベントを終えたブルゴーニュでも、あちこちでお祭りが開かれています。
ブドウの収穫祭は、村や町が一体になって開催する大規模なものもあれば、個人のワイン醸造家が雇用者の家族や友人を招いて行う小規模なパーティーもあります。
いずれにしろ、今年も無事にブドウを収穫できました、という感謝の気持ちや、一生懸命美味しいワインを造ります、という決意表明が感じられるので、この時期は、ワインファンとして毎日ワクワクしながら過ごしています。
収穫祭「フェット・デュ・ヴァン・ドゥ(FETE DU VIN DOUX)」
今日ご紹介するのは、9月最後の日曜日に南ブルゴーニュのビュクシー村で開催された「フェット・デュ・ヴァン・ドゥ(FETE DU VIN DOUX)」です。
「フェット・デュ・ヴァン・ドゥ(FETE DU VIN DOUX)」は、ビュクシー村の広場とビュクシー村にあるカーブ・コーペラティブ(ワイン醸造販売協同組合)の二箇所で行われました。
カーブでは、ヴァン・ドゥだけでなく、もちろん他のワインをテイスティングすることもできるし、チーズを乗せて焼いたトーストやクレープなどを販売しており、たくさんの人が訪れていました。
広場の方でも、ワインやビールを売っているスタンドのほか、焼いたソーセージを挟んだバゲッドを売っているスタンドなどもあり大盛況。
子どもが遊べるゲームコーナーや野外コンサートまであり、本当に町全体がお祭りモードでした。
ワインの素
ヴァン・ドゥと聞くと、ワインを勉強したことがある人は、VDN(ヴァン・ドゥ・ナチュレル)を思い浮かべるかもしれません。
VDNというのは、ブドウを搾った液体の発酵途中に、アルコール度の高いブランデーなどを添加することで、発酵を止めてしまうワインのことです。発酵を途中で止めることで、もともとのブドウの自然な甘さが維持されます。
フランスでは、ミュスカやバニュルスが有名です。
話がちょっと横道に逸れてしまいましたが、ヴァンダンジュの後に、南ブルゴーニュでヴァン・ドゥと呼ばれるものは、いわゆるVDNとは全く関係ありません。
収穫したばかりのブドウを搾った、フレッシュジュースのことです。
ヴァン(ワイン)という名前が付いていますが、アルコールは含まれていません。
この新鮮なブドウを搾っただけというヴァン・ドゥは自然のブドウ酵母が豊富に含まれているので、普通にスーパーで買うジュースとは違い、冷蔵庫に入れていても数日後にはシュワシュワと発酵してきます。
ちなみに、発酵していない絞りたてのブドウジュースと蒸留酒を2対1の割合で混ぜ合わせて瓶詰めして、熟成させたものがVDL(ヴァン・ドゥ・リキュールリクール)です。
コニャックを混ぜて熟成させたものが、ピノー・デ・シャラロント、カルヴァドスを混ぜて熟成させたものが、ポモー・ド・ノルマンディです。
ブルゴーニュ地方のVDLであるラタフィアには、ブドウの搾りかすを発酵させたマールと呼ばれる蒸留酒を使います。
ヴァン・ドゥは、この時期に南ブルゴーニュのこの場所にいないと飲むことができませんが、VDLは日本でも手に入るようなので、機会があれば飲んでみてください。
ブルゴーニュのラタフィアは、食前酒として飲まれることもあれば、食後酒として出てくることもあります。
ヴァン・ドゥのアレンジ
ちょっと発酵したヴァン・ドゥは、まろやかな炭酸ジュースのようで、そのまま飲んでも美味しいのですが、天然酵母液としてパンを焼いたりも出来る優れものです。
私も天然酵母のパンに凝っていた年に、ヴァン・ドゥを使ったパンを焼いたことがあります。
焼きあがった後にはあまりブドウの香りがせず、ちょっと残念でした。
ブドウは抗酸化作用が高く、デトックス効果もあるので、フランスでは美容や健康に関心がある人たちから大変注目されています。
毎年秋には、Cure de raisinというブドウ療法がニュースや雑誌などで特集されることからも、フランス人とブドウの切っても切れない関係がよくわかります。
それでは今日はこの辺で。
最後まで読んでいただいて有難うございました。
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