一般的に、ボージョレ・ヌーヴォーが話題になるのは解禁日前です。
各メーカーが伝える前情報を参考に、ボージョレ・ヌーヴォーを解禁日に購入(予約購入の方をふくめ)し、今年の味わいを楽しんだ後は、年末に向けてスパークリングワインの購入へ…という方が多いのではないでしょうか。
しかし、中にはボージョレ・ヌーヴォーをきっかけにワインを学びたくなったり、ボージョレ地区に興味を持つ方もいるかもしれません。
今回、そんな方のためにCAVE準レギュラー「UNITED ARROWS LTD. WINE CLUB」の蟹澤徹さんと一緒にメルシャン株式会社へ突撃取材を敢行。
あらためてボージョレ地区について学び、メルシャンがおすすめするボージョレワインをテイスティングしてきました。
前半は、ボージョレ地区と今年のボージョレ・ヌーヴォーの特徴についてお伝えしていきます。
今回ご協力いただいた方々
ボージョレ地区とは?
今回、お話をお聞きしたのはメルシャン営業本部マーケティング部 輸入グループの小泉麻衣さん。
以前、CAVEでは「コドーニュ バルセロナ1872」開発の裏側をお聞きしましたが、今回はボージョレ地区から生まれるワインについてお伺いしています。
※小泉さんにインタビューした過去コラムはこちら >
小泉「フランスのブルゴーニュ地方の南にあるのが、ボージョレと呼ばれている地区です。ブルゴーニュ地方は南北に300kmになる地方ですが、その南部約55kmほどがボージョレ地区になります。」
ブルゴーニュ地方は、ボルドーのようにブドウ品種をブレンドしてワインを造るのではなく、ピノ・ノワールやシャルドネなどを100%使用、つまり単一品種でワインが造られるところが特徴。
ボージョレ地区では、「ガメイ」と呼ばれる黒ブドウ品種が主要品種として赤ワインが造られているとのことです。(一部、ピノ・ノワールやシャルドネから造られるワインもある)
ボージョレ地区の北部と南部
ボージョレ地区はブルゴーニュ地方の南側に位置しているとお伝えしましたが、さらに同地区内では主な産地が北部と南部に分かれているそうです。
小泉「ボージョレ・ヌーヴォーをお選びいただく際、スタンダードなものだけだけでなく、『ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー』というものがあることにお気づきになった方もいるかもしれません。『ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー』は、同地区の北部に位置している『ボージョレ・ヴィラージュ』と呼ばれる38の村で造られたヌーヴォーのこと。そこで収穫されるブドウは、豊潤でふくよかなワインを生み出すことで知られています。」
スタンダードなボージョレ・ヌーヴォーより、ひとつ上のカテゴリがボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーと覚えておくとよいでしょう。
さて、ボージョレ地区というと、「ヌーヴォー」のイメージが強いですが、小泉さんによると「クリュ・ボージョレ」という村名表記の産地もあるそうです。
小泉「ボージョレ地区の北部には、『クリュ・ボージョレ』と呼ばれる産地があります。ここで造られるワインは熟成を経て美味しくなるワインが造られています。傾斜が強いことから水はけが良く、日当りも良いので品質の高いブドウが収穫されていることで知られています。」
『クリュ・ボージョレ』と一口にいっても、そこには産地として名乗れる10の村があり、それぞれに特徴が違うと小泉さんはいいます。
小泉「例えば、『ムーラン・ナ・ヴァン』という場所で造られるワインはタンニン豊かでしっかりとした味わいが特徴といわれています。一方、『フルーリー』という場所では花のアロマを感じさせる華やかなワインが生まれる傾向にあることで有名です。」
ボージョレには、ボージョレ・ヌーヴォーしかない…と思われがちですが、じつは新酒ではない長期熟成タイプのワインも造られていることも覚えておきましょう。
参考に…
自らの村名を名乗れる10の産地がある「クリュ・ボージョレ」
北から、
サン・タムール
ジュリエナス
シュナス
ムーラン・ナ・ヴァン
フルーリー
シルーブル
モルゴン
レニエ
ブルイィ
コート・ド・ブルイィ
ガメイが見直されている
前述したように、ボージョレ地区の主要品種はガメイです。
ブルゴーニュ地方といえばピノ・ノワールのイメージであり、ガメイはヌーヴォーのみと思われがちな品種ですが、近年世界的にその良さが見直されているといいます。
小泉「ブルゴーニュを代表する赤ワインの品種といえばピノ・ノワール。ピノ・ノワールは高級品種として評価が高いですが、一方で価格も高いことでも知られています。年々価格が高騰しており、『気軽に手に取れるワイン』というイメージではなくなってきています。そんな中、注目されているのがガメイなんです。」
『クリュ・ボージョレ』のように熟成に耐えるワインがガメイから生まれること、価格がピノ・ノワールほど高くないものの品質が高い。
さまざまな側面から、ブルゴーニュのピノ・ノワールにかわってガメイが注目されているとのことです。
小泉「また、ガメイというと“飲みやすい”というイメージが強いのですが、それがマイナスではなくプラスに働いているところも大きいかもしれません。近頃、素材を生かした料理がトレンドですのでコクが強過ぎたりしっかりとし過ぎてしまっているものよりは、ガメイのような繊細な味わいの方が幅広い料理に合わせやすいんです。」
ワインペアリングに興味を持っている方も多いと思いますが、今後はピノ・ノワールではなく、ガメイを試してみてもいいかもしれませんね。
今年のボージョレ・ヌーヴォー
ボージョレ地区の話で、今年のヌーヴォーの出来映えを聞かないのも野暮というもの。
2020年は、あらためてどんなヴィンテージだったのか小泉さんにお聞きしてみました。
小泉「今年は暑く雨が少ない、天候に恵まれたヴィンテージだったと聞いています。果実味が豊かでリッチな味わい、タンニンもまろやかな素晴らしいヴィンテージとなりました。」
ボージョレ・ヌーヴォーと言えば毎年印象的なキャッチフレーズがつけられますが、今年は本当に素晴らしい年だったようで、「100年に1度のビッグヴィンテージ」と謳われた2003年に匹敵する出来映えだったといいます。
小泉「アルベール・ビショー社のテクニカル・ディレクター兼チーフ・ワインメーカーのアラン・セルヴォー氏は、2020年のボージョレ・ヌーヴォーを『太陽のワイン』と称しています。それだけ、素晴らしいヴィンテージだったということですね。」
ちなみにメルシャンでは、毎年参考値として自社のボージョレ・ヌーヴォーだけではなく、さまざまなボージョレ・ヌーヴォーをテイスティングしているのだとか。
今年は、全体的に濃い紫色の外観で果実味が豊かであり、どの造り手のワインも素晴らしいワインだったそうです。
後編はテイスティング!
ボージョレ地区の基本について小泉さんにお聞きしてきました。
ちなみに、日本はボージョレ・ヌーヴォー輸出市場において約50%を占めており、日本市場がボージョレ生産者を支えているのだそうです。
新しいもの好きの日本人らしいですが、そろそろヌーヴォーを一歩飛び越えてその産地の魅力を深堀りしてもいい頃かもしれません。
ということで、後半は蟹澤さんがメルシャンおすすめのボージョレワインをテイスティング。
今年のボージョレ・ヌーヴォーはもちろん、ワインファンなら絶対に知っておきたいとっておきの1本も登場します。
ぜひ、チェックしてみてください!
キャンペーン実施中!
メルシャンでは、「ボージョレ・ヌーヴォー」解禁の機会に新酒以外の「ボージョレ」産ワインの魅力も伝えたい…ということで、アルベール・ビショー公式アカウントと連携したキャンペーンを実施中とのこと。
メルシャンの「ボージョレ・ヌーヴォー」はもちろん、他社輸入商品の「ヌーヴォー(新酒)」を含む「ボージョレ」産ワインの写真投稿が応募対象となる「#ボージョレを飲もう」キャンペーンとなっているようです。
期間は、11月19日(木)〜12月31(木)まで。
詳しくは、キャンペーンサイトにアクセスしてチェックしてみてください。
キャンペーンサイトはこちら!
ご参考
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ナカゴミ コウイチ
ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。
ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。