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豆知識

シャンパーニュメゾンのこだわりはこんなところにも!?シャンパーニュにおけるアサンブラージュとは?

           
“泡好き”というシャンパーニュラヴァーをはじめ、我々ワインラヴァーはシャンパーニュが大好き。

誰もが知る高級メゾンのプレステージキュヴェからマニアックなRM(レコルタン・マニピュラン)のノンヴィンテージシャンパーニュまで、皆さん幅広く楽しまれていると思います。

さて、そんなシャンパーニュが製造される工程のなかに取り分けユニークなものがあります。

それが、「アサンブラージュ」という工程です。

ここでは、シャンパーニュ造りを勉強された恩田匠さんがまとめた、「アサンブラージュ -シャンパン製造における最大の秘密-」を参考にシャンパーニュ製造におけるアサンブラージュの基礎について簡単に解説したいと思います。
          
           

アサンブラージュとは?

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アサンブラージュとは、異なる品種や異なるヴィンテージのワインを調合してひとつのワインを造る工程のことです。

シャンパーニュの場合、単一品種から造られる一部のワインを除けば、基本的に複数のブドウ品種がブレンドされたり、製造年の違う原酒(ベースワイン)をブレンドして製造されています。

アサンブラージュは品質の安定化のため…というイメージが強いですが、シャンパーニュの場合は各メゾンの特徴やスタイルを大きく決定する重要な工程。

アサンブラージュの技術は一子相伝であるとも考えられているなど、シャンパーニュ製造における「秘密」の部分ともいわれているほどです。

“調合”とひと口にいえば終わってしまう話ですが、シャンパーニュ製造にとって“アサンブラージュ”は、かなり奥が深い工程でもあるのです。
         
         

アサンブラージュの構成要素の複雑性

          
“このシャンパーニュは、シャンパーニュ地方で収穫された品質の高いブドウを数種アサンブラージュして造られたノンヴィンテージシャンパーニュです。シャープな酸と力強さが特徴です”。

これだけみるとだいぶシンプルな造りのシャンパーニュに感じますが、製造工程を分解してアサンブラージュだけの工程を覗いてみると相当複雑な作業をしているかもしれません。
          
            

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まず、どのブドウを使用しているかです。
           
シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエ、アルバンヌ、プティ・メリエ、ピノ・ブラン、ピノ・グリ…(基本は、シャルドネとピノ・ノワール、ムニエですが)。
          
         

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さらに、「モン ターニュ・ド・ランス」、「ヴァレ・ドゥ・ラ・マル ヌ」、「コート・デ・ブラン」、「コート・デ・バール」といった産地の違いもポイントでしょう。
         
もしかしたら前述した4大産地ではなく、「コート・デュ・セザネ」、「ビトリア・マルネ」、「モングー」、「コート・デ・バール」、「バー・シュール・オウボワ」、「バー・セキャネ」といった産地のブドウかもしれません。

産地だけでなく、そこに村(クリュ)や畑の違いも絡んできます。

ちなみに大手メゾンになると、200を超える村の300を超えるブドウ畑の区画から原料を保持しているようで、各村のテロワールの違いを徹底的に精査してアサンブラージュに活かしているそう。

RMであれば選択肢はある程度限られますが、大手メゾンのアサンブラージュ担当になったら、どの産地のどの村のどの区画のブドウを使うのか…相当な技術とセンスが必要になってきそうです。
          
          

3つの構成要素にも注目

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産地や村、区画、ブドウ品種も決まった。

ブドウを圧搾し、醸造してからベースワインを造って樽熟成(←必ずしも樽を使うわけではありません)させた後にショ糖を入れて瓶内二次発酵へ…と思いきや、シャンパーニュにおけるアサンブラージュの作業はこれでは終わりません。

瓶内二次発酵に進む前に、シャンパーニュではアサンブラージュの原料となるワインがブレンドされます。(果汁もブレンド可能だそうですが、今はあまりないとのことです)

ここからは、アサンブラージュの材料となる重要な3つのワインについてみていきましょう。


・キュヴェ
シャンパーニュでは圧搾時に4,000kgから得られる2,550ℓ分のみの果汁がAOC認定を受けることができます。

そのうち、最初に抽出される2,050ℓの果汁がキュヴェと呼ばれています。(一番搾り)

得られたキュヴェは、村(クリュ)、ブドウ品種、区画ごとに細かくわけられた後に醸造されます。

酸度が高く強いフィネス、長期熟成が期待できるポテンシャルがある果汁といわれており、テロワールの違いを明確に表現したものと考えられているようです。


・タイユ
タイユは、キュヴェの次に抽出される500ℓの果汁のこと。

おもしろいことにタイユはキュヴェとは違い、醸造圧搾後は特徴の近い同一品種のタイユ果汁が混合されてワインが造られることが多いようです。

タイユは酸度がやや低く、果皮周辺の色味や香味が含まれることから比較的フルーティーな香味が特徴。熟成能力はやや低めとされています。


・リザーヴワイン
シャンパーニュ製造の特徴として、前醸造年までに製造され、貯蔵された「リザーヴワイン」の使用が可能。

やや強い熟成の風味(またはヒネ香)が示されますが、厳しいヴィンテージの時の調整役としてシャンパーニュ製造に欠かせない存在となっています。

※生産年を表示して市販される「ヴィンテージ」「ミレジメ」にはリザーヴワインは使用されません。

リザーヴワインは別として、シャンパーニュではキュヴェやタイユなど、こういったアサンブラージュの原料となる果汁が醸造を経て、それぞれワインが製成され、はじめてアサンブラージュの工程へ進みます。

一般的なメゾンではどれがどのようにアサンブラージュされているのでしょうか。
           
           

アサンブラージュ一例

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シャンパーニュにおけるアサンブラージュは、数多くの構成要素が組合わさる複雑な工程。

「アサンブラージュ -シャンパン製造における最大の秘密-」では、小さなレコルタン・マニピュランを想定して一般的なアサンブラージュについて解説されていたので簡単にまとめます。

シャルドネ(Z村)※キュヴェ
シャルドネ(X村)※キュヴェ
ピノ・ノワール(Y村)※キュヴェ
ムニエ(Y村)※キュヴェ
リザーヴワイン
タイユ

まず、これらの6種類の材料となるワインが存在しています。


(1)ブリュット・トラディショナル

メゾンの顔となるブリュット・トラディショナル。この場合、シャルドネ(X村)とピノ・ノワール(Y村)、ムニエ(Y村)を各20%で約1/3ずつになるようにブレンド。そこに、リザーヴワインとタイユが20%ずつになるようにブレンドされます。もし、何かの要素が足りなければ微調整を繰り返し、自社メゾンの味の骨格を造ります。ちなみに、同商品は年によってバラつきがあっては困るため、毎年同じ味わいに仕上げられます。


(2)キュヴェ・スペシャル

ブリュット・トラディショナルの上級アイテムとなる、キュヴェ・スペシャル。こちらはタイユは利用せずにリザーヴワインの比率を上げてブレンドされます。シャルドネ(X村)とピノ・ノワール(Y村)、ムニエ(Y村)を20%ずつ、リザーヴワインが40%のバランス。こちらも、当然微調整は行なわれます。


(3)キュヴェ・プレステージ

こちらは、ブラン・ド・ブラン。希少性が高いことから、キュヴェ・プレステージという位置づけです。この時に著しく品質の高いヴィンテージの場合はミレジムとして造られますが、アサンブラージュということで今回はノンヴィンテージです。こちらは、より良質なシャルドネ(Z村)のみを使用。リザーヴワインやタイユは使用されません。もちろん、ピノ・ノワール(Y村)のみ、まそれとたムニエ(Y村)でアサンブラージュされたものは、ブラン・ド・ノワールとして売り出されます。


これは一例ですが、各メゾンこういったアサンブラージュを行い自社の味わいを決めていきます。

基本的には全てのアサンブラージュの材料を余すことなく利用するようですが、タイユなどは一部蒸留所に売却されることもあるとか。

さらにシャルドネ(Z村)のワインの一部をリザーヴ・ワインと混合し、翌年使用する場合もあるなどやり方は複雑。

各メゾン、じつは飲み手の知らないところで相当な技術を駆使しながら製品を世に送り出しているのです
            
             

細かな規定が唯一ないからおもしろい!?

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シャンパーニュを名乗るためのA.O.C.製造規定は、各製造工程において厳しく定められています。

そのため、シャンパーニュには5,000近い製造企業があるものの画一的な製品製造が実施されているともいえるでしょう。(もちろん、おもしろい仕上がりのシャンパーニュもたくさんあります)

しかし、A.O.C.製造規定においてアサンブラージュについては、細かい技術的な規定はありません。

つまり、各社が税工程の中で唯一自由に創意工夫できる工程がアサンブラージュといえるのです。

シャンパーニュというと、どこのメゾンだとかどれだけ華やかななのとか、どれだけマニアックかが議論されがちですがアサンブラージュについて語られることは少ないはず。

少々テクニカルな内容ではありますが、一歩踏み込んでみたいという方はぜひシャンパーニュ地方のアサンブラージュについて深堀りしてみてはいかがでしょうか?

きっと、今まで見えてこなかったシャンパーニュの魅力に気がつくかもしれません!
        
           

【参考文献】

        
恩田匠:「アサンブラージュ -シャンパン製造における最大の秘密-」,日本醸造協会誌 109(3) 168-180 (2014) 
           
           

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