インポーターでありながら醸造士!米国ワインを愛する「サン・ブリッジ」代表の鬼崎徳朗さんにインタビュー!|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

突撃リポート

インポーターでありながら醸造士!米国ワインを愛する「サン・ブリッジ」代表の鬼崎徳朗さんにインタビュー!

      
先日、とあるワイン関係者の方から「おもしろい人がいるから会ってみてはどうか」というお話をいただきました。

ワイン業界にはさまざまな人がいるため、“おもしろい人”というと経験上、自分の想像を超える方と出会うことができます。

そして、今回。

ご多分に漏れず、素晴らしい方をご紹介いただきました。

その方は、カリフォルニア州のブティックワイナリー「アルファ・オメガ」など、同州のワインを輸入している「サン・ブリッジ」の代表兼醸造士の鬼崎徳朗さん

サン・ブリッジの現状や今後についてはもちろん、鬼崎さんご自身のことについてもインタビューさせていただきました。

ぜひ、最後までチェックしてみてください。
        
        

今回お話しを伺った方

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▲「サン・ブリッジ」の代表兼醸造士の鬼崎徳朗さん

サン・ブリッジ&鬼崎さんについて

        
「現在、サン・ブリッジはカリフォルニアワインのインポーターとして活動しています。ただ、私が醸造出身の人間ですので、今後は醸造もできるインポーターとして活動範囲を広げていきたいと考えています。」と、語るのはサン・ブリッジの代表兼醸造士の鬼崎徳朗さん。

醸造家がインポーターとしてカリフォルニアのワインを日本に紹介している…というスタイルはかなり独特です。
      
        

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「学生としてアメリカに渡米し、10年くらいカリフォルニアに住んでいました。同州の州立大学でワイン醸造学を修め、その後はソノマで一軒、ナパで二軒のワイナリーで醸造を担当。よい経験となりました。」

大量生産スタイルのワイナリー、小規模生産スタイルのワイナリー、そしてブティックワイナリーといったさまざまなジャンルのワイナリーで腕を磨いた鬼崎さん。

「スタイルの違いによるワインの造られ方をよく見ることができました。私は、幸運だったと思います。」と語ります。

新世界の筆頭であるカリフォルニアの地で醸造のテクニックを身につけた鬼崎さん。なぜ、今インポーターという道を選んだのでしょうか。
         
       

米国でワイン造りをしたい

       
「当初、“醸造士として活躍したい”という思いが私にはありました。しかし、日本人である私がアメリカの地でインターナショナルな人間として活動し続けるにはさまざまな障壁があります。」

大学を卒業後、ビザの問題などで居住し続けることが厳しくなってしまった鬼崎さん。

どうもがいても日本に戻ってこなければならない、という状況だったようです。

「日本で醸造士として働く手もあるでしょう。しかし、アメリカのワイン造りやワイン文化はとても洗練されたものである、と私は考えています。世界中からワイン造りの精鋭たちが集い競い合うこの場所で醸造士として活躍することこそ、私の夢であり願望、目標なのです。そして日本のワイン醸造産業の方々にもその最先端のワイン造りを学んで頂けるようなパイプ役となり、素地を作っていきたい」と鬼崎さん。

とはいえ、別のアイデアで日本と関わるつもりとも語ります。

しかし、なぜそこまでアメリカという地にこだわるのでしょうか。
        
        

アメリカでのワイン造りへのこだわり

         
日本はもちろん、フランスをはじめとした旧世界と呼ばれるワイン生産国や新世界のワイン生産国など、世界中にワインを造ることができる場所は多くあります。

鬼崎さんが、アメリカでのワイン造りにこだわる理由をお聞きしました。
         

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「先ほどお話にしたように、私はカリフォルニアに10年居住していました。自分には、“アメリカ”という国が根っこの部分にあるんです。また、ワインの歴史を見ても、ワインの総本山であるフランスに打ち勝った生産国がナパ・ヴァレー。(※)新世界にもいろいろなワイン生産国がありますが、カリフォルニアがNO.1であることを歴史が示しており、そこでワインを造りたいんです。」

※1976年5月24日にフランス・パリにて開催された、パリ・テイスティング (The Judgement of Paris)。俗にいう「パリの審判」。


また、ほかの産地でワインを造ることはリスクもあると語ります。

ワインが造れるならどこでもいいというわけではなく、自分のワイン人生の根っこであるアメリカで造りたい。

「例えばカリフォルニアであれば私は土地勘もありますし、知り合いも多い。あらためてオーストラリアやニュージーランドでワインを造るとなると、全てを一から築き上げなければなりません。若ければ動きやすいかもしれませんが、年齢の問題もありますしその土地に対する相当な熱量も必要になってきます。早く結果を出す、という意味ではアメリカで勝負したいわけです。」と鬼崎さん。

こういった鬼崎さんの強い意志が、有名生産者などから信頼される理由かもしれません。
        
         

アルファ・オメガについて

       
鬼崎さんが代表をつとめるサン・ブリッジ。

取扱いのあるワイナリーの中で、カーヴが注目したのは「アルファ・オメガ」です。

有名ブティックワイナリーのひとつと知られている同ワイナリーですが、なぜ取扱いを決めたのでしょうか。

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▲アルファ・オメガ Ⅱスクエアー ライト・バンク ナパ・ヴァレー2017

       
「日本人とアメリカ人は同じ人間ですが、当然味覚が違います。例えばマヨネーズひとつとっても、アメリカ製のマヨネーズはアメリカ人が美味しいと思える味にプロダクトされている反面、日本のマヨネーズは日本人が好む風味となっています。」と鬼崎さん。

「幾多あるカリフォルニアワインの中で、『アルファ・オメガ』のワインを飲んだ時、日本人の好みに合うと直感的に感じたんです。ロバート・パーカーなどの評論家が100点をつけたワインであっても、日本人にとっては90点をつけたワインの方が美味しいかもしれない。名声だけではなく、実際に現地で飲んで日本人の味覚にフィットするワインだから、ということで取扱いを始めました。」

「アルファ・オメガ」といえば有名ブティックワイナリーですが、歴史はさほど古くないようです。

「『アルファ・オメガ』は、新興にあたるブティックワイナリーですね。2006年に現ワイナリーの前身となるワイナリーをオーナーが買収し、建屋なども一新したのが2008年頃。20年も経っていない比較的新しいワイナリーです。」
         
        

新興ブティックワイナリーはトレンドの味わい?

        
“日本人の味覚に合う”という「アルファ・オメガ」。

新興ブティックワイナリーの場合、昔のような果実味たっぷりのワイン造りというよりはトレンドのエレガント系のワインが多いのでしょうか。
       

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「全てがそうとは限りませんが、そうった傾向は高いと思います。カリフォルニアは世界をリードしているワイン産地であり、新興のブティックワイナリーなど、毎年味わいをよくするための実験的な醸造を必ず行なっています。保守的な造り方というよりは、アメリカのワイン法に基づきながら自由なワイン造りをし、自らの哲学をワインに投影しようという醸造士が多いのではないでしょうか。」と鬼崎さん。

醸造技術の最先端といういうイメージの強いカリフォルニア。ここのワインを飲めば、今のワインのトレンドがわかるということなのでしょうか。

「基本的に、カリフォルニアは資本力のあるオーナーが少なくありません。評論家の得点を気にせず、“今までに見たこともないワインを造りたいんだ”という醸造士がいたらそれに乗っかって、“よし、君の造りたいものを造ろうじゃないか”という感じのところもあるかも知れませんが、トレンドを意識しているというよりは、オーナーの哲学によって生み出されるワインが多く、その哲学に基づくスタイルのワインをその通りに造ることが出来るのが醸造士の技術力なのです。」

ただ、ナパやソノマといった有名産地から離れているワイナリーは認知度が低いため、マーケティングとして点数至上主義になっている部分もあるとのこと。

とはいえ、そういった中でも自分のスタイルは貫きたいとバランスをとっている生産者の方もいるなど、一口に「カリフォルニアワイン」といっても多種多様。

カリフォルニアワインは、私たちが思っている以上にエキサイティングなのです。
       
        

上級ワイン愛飲家とは?

         
さて、サン・ブリッジの公式HPをチェックすると「上級ワイン愛飲家」という言葉を見つけることができます。

一体、どんなワイン愛飲家のことなのでしょうか。

「“自分は今日、こんな高級ワインを飲んだぞ!”とSNSにあげるようなライフスタイルもあると思いますが、『上級ワイン愛飲家』はそういった感じの飲み方をしている方を指していません。」と鬼崎さん。

       
「ワインは特殊性があり、人と人を繋げるお酒という特徴を持っています。ビールなどにもそういった側面はあるかもしれませんが、ワインは“こだわれば、こだわるほど”に人間関係が繋がっていく…というおもしろいお酒です。」

カリフォルニアの栽培家は後世何百年先まで健全なブドウ畑を繋いでいきたいというような、サスティナブル(持続的)なものを必ず求めるという鬼崎さん。

ワインを飲む、という行為に関してもこういった部分を大切にしたいと語ります。

「上級ワイン愛飲家は、ワインを飲んだから終わりではなく、ワインを介することでさまざまな人と繋がっていき、そこから双方のビジネスなどへも良いシナジーが生まれ、結果、より良い社会となるような還元を持続的(サステイナブル)にされている方々のことです。」

ワインを介することで知らない方と仲良くなり、そこから新しい何かが生まれていった…という方も少なくないでしょう。

カリフォルニアでは、地元レストランなどにワイン醸造家たちが自らのワインを持ち寄り、皆で情報を共有し合っているようです。

自分だけが美味しいものを飲んで満足…という飲み方もいいでしょう。

しかし、鬼崎さんが語るようにワインで仲間を繋ぎ、その人たちでその楽しさなどを社会に還元していく。

こういった飲み方を私たちも続けていくべきではないでしょうか。
        
        

鬼崎さんのワインの楽しみ方

       
インポーター会社の代表であり、醸造士である鬼崎さん。

ご本人はどのようにワインを楽しまれているのでしょうか。

「例えばレストランで食事をする際、ソムリエさんから特別なサジェスチョンがなければ、気になるグラスワインを全てテーブルに並べてしまいます。」

鬼崎さんの場合、シャルドネを飲んでいる途中にカベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワールなど、この料理には絶対にコレ、と決めつけずいろいろなペアリングにチャレンジするそうです。

         
「例えばハンバーグを頼んだとしても、それ単体がドカンと来るわけではありませんよね。付け合わせに野菜やポテト、ソースなども出てきます。それらひとつずつにさまざまなワインを合わせて飲むことで、ペアリングの発見があるんです。そのため、赤身肉が来ても白ワインと合わせてみたりしますよ。ラボ的な発想…いや、とても贅沢な楽しみ方なのかもしれませんね。日本食とワインは難しいとも言われますが、カリフォルニアの濃い目の赤ワインと出汁の効いた濃い目のざるそばのつゆ、またサラダや温野菜とカリフォルニアの赤ワイン、意外と合うんです」と鬼崎さん。

もちろん、ソムリエさんからのサジェスチョンがあればその組み合せを勉強するといいます。

ワインバーでたまにソムリエさんと間違われることもあるようですが…。

やはり、鬼崎さんはおもしろい方ですね。
        
        

今後の展望

           
最後に鬼崎さんに今後の展望について語っていただきました。
        

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「カリフォルニアワインの輸入元として活動はしていますが、僕自身の出身である“醸造”というところに原点回帰していきたいと思っています。ただし、僕だけが醸造をするのではなく、チームとしてワインを造り上げていく感覚です。具体的には、1万円のワインがあったとしても、そのクオリティで6、7千円のワインを提供できるワイン集団になりたい、ということです。」

醸造士だけでなく、ソムリエが参画してもいいのではないかと鬼崎さんは語ります。

「ソムリエが私たちのチームに参画することで、3、4年後に醸造士に転身することもあるかもしれません。ソムリエと醸造士は分業ではなく、ミックスすることで新しい消費産業が生まれてくるのではないでしょうか。こういったことを、今後もラボ的にやっていきたいと考えています。」
         
        

信念を持ったインポーターを選ぶ!

        
カリフォルニアに長く居住し、現地でリアルなワイン造りを体験してきた鬼崎さん。

アメリカという国を愛し、この土地の持つポテンシャルと歴史、文化を大切に私たちにワインを届けてくれようと日々努力を続けています。

さらに醸造を今後はチームとして手掛けていきたい…というユニークな発想もほかでは聞いたことがありません。

信頼できる人が取扱っているワインを選ぶことは、私たちワイン愛飲者にとって重要なファクターになります。

美味しいカリフォルニアワインが飲みたい。

そう考えている方は、ぜひサン・ブリッジをチェックしてみてはいかがでしょうか。
       
       

ご参考

     
サン・ブリッジ
      
      

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ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。
ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。
ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

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