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ワインの楽しみ方

【日本ワイン】「シャトー酒折ワイナリー」でデラウェアを深堀りしてきました!

            
先日、「日本ワイン応援!デラウェアを飲もう!」というコラムを掲載しました。(過去のコラムはこちら ≫)

デラウェアは美味しい、奥が深い…と思っていただけたら幸いです。

ただ、実際にデラウェアを使ってワインを造っている人たちはこのブドウ品種のことをどう思っているのでしょうか。また、実際の現場ではどのように扱われているのかも気になるところです。
           
            

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今回、「シャトー酒折ワイナリー」を訪問し、醸造部部長の井島正義さんにデラウェアについてお聞きしてきました。

また、同ワイナリーにおいて2019年に初仕込みとなる〈デラウェアにごり 2019〉もご紹介。

ぜひ、デラウェアについて見識を深めましょう!
           
            

デラウェアは日本人におけるブドウの原点!

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シャトー酒折ワイナリー
醸造部部長の井島正義さん

      
デラウェアは、1855年にアメリカのオハイオ州デラウェアで命名されたブドウ品種。日本では生食用としてはもちろん、醸造用ブドウとしても使用されている人気のブドウです。

「デラウェアはラブラスカ種ということで、一般論から言うとワインの世界では地位が低いブドウ品種です。」と、井島さん。

しかし、それはヨーロッパ文化に根付いた考え方で日本の場合は違った捉え方をするべきだと言います。

デラウェアは日本人が一番多く食べているブドウと言ってもいいですよね。つまり、ブドウにおける味覚の原点。私たちにとってのブドウの原点はデラウェアなのではないか、と考えています。」

デラウェアは粒も小さく、生食用は種無しがほとんど。つまり、小さなお子さまでも食べやすいですし、これからも無くなることはない重要な品種なわけです。

日本ワインと言うと、甲州やマスカット・ベーリーA、海外品種などに目が向けられがちですが、あらためてデラウェアという品種と向き合ってみるのも大切なことなのではないでしょうか。
        
          

デラウェアの栽培

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デラウェアには、“種あり”と“種なし”が存在しています。ワインを造る際、どのような影響があるのでしょうか。

「シャトー酒折でいただくデラウェアは、ジベレリン処理をしていないものです。ブドウの実の構造として種が入っている方が果皮の比率が上がってくるため、皮の回りの味が出やすくなるんです。」と、井島さん。

さらにワイン用ブドウに重要である“酸”も、ジベレリン処理をしていない種ありブドウの方が残るようです。

ちなみにジベレリン処理を行なったデラウェアを使用するワイナリーもあると思うのですが、そのあたりはどうなのでしょうか。

「基本的に種なしのデラウェアの場合、農家の方が生食用に出せないから醸造にまわそう…というものになります。なので、酒折ワイナリーでは種なしは基本的にはいただかないですね。」とのこと。

我々がワインとして接しているデラウェアは種ありがほとんどだ、と覚えておくとよいでしょう。
           
            

良いデラウェアを栽培するには?

           
“ブドウ栽培のテクニック”というと、海外品種はもちろん、近頃では甲州やマスカット・ベーリーAなどを思い浮かべる方が多いと思います。

当然、デラウェアにもそういったテクニックはあるようですが、前述したブドウ品種たちとは違いがあるようです。

「良いデラウェアかどうかを見極めるポイントとして、食べた時に濃いか薄いかを確認します。デラウェアは、房が多くできてしまうブドウ品種ですので、その作業を怠らないことが大切です。甲州やシャルドネは1本のブドウ樹に2房程度ですが、デラウェアは4房くらいなりますからね。それを、2房、3房にするという作業が重要です。」と井島さん。

ただ、それ以外に難しい(もちろん、細々したテクニックは必要でしょうが)作業が少ないため、比較的新しく農業を始める方向けの品種でもあるそうです。

「酒折ワイナリーで今年使用するデラウェアの多くが甲府産のもので、新規就農者さんが手掛けたものです。甲府市の横根というところはデラウェア栽培をする畑が多いのですが、農家さんがご高齢のため続けるのが難しく、どうにかならないか…ということでうちにも話が来ます。そういった畑を新規就農者の方が借りられるケースが多いようですね。」

醸造用デラウェアの場合は、ジベレリン処理を行なわないため比較的作業量が少なく、後に違う品種で畑を広げていこう…と考えている方の第一歩として選ばれるのだとか。

「とはいえ、先ほどお伝えした房を落とす作業をしなかったりすると薄いデラウェアになってしまいます。また、収穫時期に房が多いと穫りきれずに病害が広がるなどリスクもあります。まぁ、開花時にやってしまえばいいですし、ベレゾンまでに作業すれば良いのでそこまで難しいことではないんですが…」と井島さん。

聞くだけだとデラウェア栽培は簡単なように聞こえますが、かなり奥が深いブドウ品種でもあるようです。
           
             

デラウェアの醸造

            
酒折ワイナリーが掲げるデラウェアワインのコンセプトは、“ブドウを食べているような味わい”

こういったワインを生み出すために、どのような醸造アプローチを行なっているのでしょうか。

「うちは、若干甘みを残す造りをしています。ワインにする際、重要視しているのは“酸”と“甘み”のバランス。私たちもデラウェアを栽培する農家の方の畑に赴き、収穫期などを一緒に決めています。」と井島さん。

さらに、「ブドウの収穫時点の果汁の酸と甘みのバランスが重要です。そこが大幅にズレるようだと厳しいですね…。酒折ワイナリーでは、甲府エリアと韮崎の穂坂エリアで栽培されているデラウェアを二回にわけて収穫します。酸と甘みのバランスを取るため、二箇所の特徴を考えながら仕込みをしています。」とも教えていただきました。
            
            

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ちなみに、今回ご紹介する「デラウェアにごり 2019」も、非常に良いバランスに仕上がったそうです。

井島さんいわく、「今年は酸がちょうど良いので、フルーティーな甘みをほど良く感じてもらえると思います。」とのこと。

酒折ワイナリーが今年初めて仕込むブドウがデラウェアだそうなので、ワインファンはもちろん、初心者の方もぜひ手に取って楽しんでいただきたい1本です。
          
              

デラウェアという品種の立ち位置

         
冒頭、“デラウェアは、一般的にワイン業界では地位の低いと思われているブドウ品種”とお伝えしました。

しかし、酒折ワイナリーでもほかの品種と同様に力を入れて醸造を行なっているブドウ品種でもあり、多くの人に手に取ってほしいという思いで造られている商品でもあります。

「デラウェアはワインを飲まない方々にも好まれる品種です。そういった方に、“ジュースみたい”と思われてもいい。“美味しい、ボトル1本あけちゃいそう”と言ってもらうと、“やった!”と思います。」と井島さん。

還元臭の管理を含め、ほかの品種とアプローチは一切変わらずに造られているとのことです。
            
           

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また、井島さんから面白いお話もお聞きました。

「数年前、ワイナリーにO.I.Vの研修か何かでジェラール・ バッセさんがいらっしゃったことがあったんです。その時、“デラウェアのワインを飲みたい。デラウェアは出るんでしょう?”というリクエストをいただいたんです。当ワイナリーのデラウェアはラブラスカの香りが気にならないクリーンでジューシーな味わいです。気に入っていただけたと思いますよ。」

デラウェア自体はアメリカ品種ではありますが、もはや立派な日本の土着品種という位置づけ。

甲府駅の駅前で開催されているワインイベントなどでも、デラウェアの人気が高いとのことですのであらためてその地位を見直す必要がありそうです。
          
            

【おまけ】今年の山梨

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さて、井島さんにデラウェアについていろいろとお聞きしてきましたが、気になるのが今年の山梨全体の状況。

「今年は7月の長雨の影響で日照不足。正直言って、ブドウの品質は平年と比べると厳しい状況です。甲州の糖度が13度から14度程度というように、糖度が上がらず全体的に厳しかったですね。」と井島さん。

「白ワインは、フラットにならないようにシュールリーや発酵を止めるタイミングなどいろいろやっていかないとな、と考えています。赤ワインは…もっと厳しいでしょうか。色が薄く、見た目から厳しい年になったということがわかります。もちろん、こういった年でもしっかりと仕込みますよ。」とのことです。

今年は通年に比べて病害が多く、山梨県全体が厳しい年となったようです。

とはいえ、海外のように人間がやることが一定でヴィンテージの影響をそのまま反映するワイン造りと日本は違う、と井島さんは考えます。

「気候の変動が大きいのが日本の産地特性。気候に合わせていろいろな技術が使われるなど、人間の関与が多いところが特徴的です。そのため、今年のような厳しい年であってもそれに対応してそれなりのブドウをつくります。こういった困難をカバーできるのが日本のブドウ栽培、ワイン造りなのではないでしょうか。」

山梨県の新酒が出てくるのはこれから。厳しい中、各ワイナリーがどのように努力したのか知るのも、日本ワインを知るひとつの楽しみ方かもしれません。
           
            

デラウェアを飲もう!

           
デラウェアは、生食用のブドウというイメージが強い上にワインを勉強された方にとっては地位が低いと思われてしまっているブドウ品種です。

しかし今回、井島さんにお話をお聞きしたように、日本人におけるブドウの味わいの原点であり、美味しく誰でも飲みやすいという素晴らしい品種でもあるのです。

あらためて言います。デラウェアを飲みましょう!!
           
            

デラウェアにごり 2019

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2019年、酒折ワイナリーで一発目に登場する商品が、〈デラウェアにごり 2019〉です。

毎年大人気のアイテムだそうですが、どういった商品なのかシャトー酒折ワイナリー販売企画部の木戸さんにお聞きしました。

「〈デラウェアにごり 2019〉は、シャトー酒折ワイナリーで2019年に初めて造る商品です。通常のデラウェアは濾過や清澄を行ないますが、こちらは濾過をしない状態で仕上げています。

甲州やマスカット・ベーリーAは、山梨県のワイン組合にて解禁日が決まっているのですが、デラウェアにはそれがないので一番早く出せるそうです。

「昨年のより甘みが強く出ている、とてもバランスの良い仕上がりです。ちなみに、昨年までは穂坂がメインの収穫地でしたが、今年は甲府の割合が多くなっています。甲府は平地で温度も高いため、その分糖度の高いデラウェアを使うことができました。」と、木戸さん。


「普段ワインを飲まれない方などでも美味しくいただけます。しっかりと冷やしてお飲みになってください。」とのことです。

基本的にワイナリー売店以外では受注販売となり、毎年製造分は全て無くなってしまうのだとか。

2019年、山梨産のデラウェア。

ぜひ、チェックしてみてください!
          
            

ご参考

            
シャトー酒折ワイナリー


デラウェアにごり 2019
         
            

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