【第二回】日本が誇る日本産ホップ「ムラカミセブン」とは!?生みの親のホップ博士こと村上敦司さんにインタビュー!|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

突撃リポート

【第二回】日本が誇る日本産ホップ「ムラカミセブン」とは!?生みの親のホップ博士こと村上敦司さんにインタビュー!

         
第一回では、村上さんのキャリアを中心にお聞きしました。
第二回では、希少な日本産ホップ「ムラカミセブン」についてお聞きしています。
          
             

今回お話しを伺った方

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「ムラカミセブン」の生みの親、“ホップ博士”こと村上敦司さん

           

Q.日本産ホップ「ムラカミセブン」の歴史についてお聞かせください。

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「日本産ホップの品種改良はもうしなくていい、となって私が横浜に異動になったのが1996年。当時、異動する前にどうしても残しておきたいホップのかたまりがあったんです。私は遺伝学が専攻ですので、“ビールをこれで造りたい”というよりは、香りがどのように遺伝していくのか…など、基礎研究用として残しておきたいと考えたんですね。」
        
            

Q.基礎研究用だったんですね。

          
「岩手ホップ管理センターというところがあるのですが、展示用の畑の一画に植えて農家さんに世話をしてもらいました。“大切なホップだからよろしくお願いします”と伝えましたが、農家さんには、“若いヤツが何か言ってきたけど、本当に大丈夫か?”なんて思われたかもしれませんね。ただ最後まで、しっかりと丁寧に管理してくれました。」
          
           

Q.そのホップから、「ムラカミセブン」が?

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「それから時間が経ち、私もビールを造ることができる技術が身についていたことから残しておいたホップで香りを確認するためにビールを造りました。そんな時、“すごい香りの良いホップがあるぞ!”となったのが、20株案のうちの7番目のホップだったんです。」
          
            

Q.7番目のホップだから、セブン?

          
「その品種には、『江刺(えさし)7号』という名前が付けられていたのですが、気がついたら、『ムラカミセブン』になっていました。」
           
          

Q.シンプルなネーミングだったんですね。ただ、7という数字は縁起が良いような気がします。

          
「たまたまですが、私も、“いい数字だなぁ”と思っていますよ。」
           
              

Q.ただ、すぐ商品化というわけではなかったんですよね?

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▲ “従来品とは一線を画した新ジャンルカテゴリー”として販売された
「キリン Sparkling Hop(スパークリングホップ)」

             
「当然、当時の私はほかにもいろいろなことをやっていたわけですが、世間的に香りの文化が来ているという感じではありませんでした。単発でニュージーランドのホップを使用して香りを付けた感じのビールも出しましたが、ブームというほどの人気があったとは言い難いでしょう。」
            
               

Q.クラフトビールも多く日本で飲まれ始めた頃?

         
「クラフトビールもありましたが、大きなマーケットに成長するのか…という感じで懐疑的だったんです。」
           
            

Q.まだまだ当時はマニアックな存在、という感じではありました。

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「そんな中、2000年のひとけた後半頃にアメリカ出張の機会があったんです。現地でビールを飲もうと思ったのですが、なんとナショナルブランドが全然見当たらない。バーに行っても知らない銘柄がメインでしたし、現地のスーパーに行ってもすぐには見つからない…。“クラフトビールはすごい。これは、本物だ!”と感じた瞬間でしたね。」
         
           

Q.そこから早速、「ムラカミセブン」でビール作りを?

           
“クラフトビールは本物だ!”と感じはしましたが、正直私の中ではまだ半信半疑でした。やりたければやってしまう性格ですので、当時やらなかったということは決断できていなかったんだと思います。」
          
              

Q.何がきっかけとなったのでしょうか?

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「東日本大震災です。あの時、復興について各自が何かしようと動き出しましたよね。そんな時、“自分にはホップがある。そして、新しい品種がある。とれたホップの第二弾を造れば東北の人たちに喜んでもらえるのではないだろうか”と考え、当時私の上司だった現マスターブリュワーの田山さんに相談して、“よし、やろう!”という話になったんです。」
           
             

Q.それから、商品化したのは?

           
「まずは、『ムラカミセブン』の株を増やすところからでした。手作業で増やしていく大変な作業でしたが、さまざまな苦難を乗り越えて2017年ついに商品化となった感じです。」
           
              

Q.第一回でお話した原体験があったからこそ、飲む人の喜ぶ顔が浮かんだのでは?

            
「そうですね。サラリーマンが〈毬花〉について語っていた電車内での原体験があったからこそ、この発想が出てきたのかもしれません。以前の私は、商品とは違うところ、つまり学術論文で評価を得ることが格好良いことだと思っていたんです。しかし、それは全然違った。今は、お客さまの笑顔や声を聞くことが大きな喜びに感じるようになってしまったんです。」
            
       

Q.ちなみに、『MURAKAMI SEVEN』が初登場したのが2017年ですが、最新の商品の味わいで大きな変更点はあるのでしょうか?

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「最新の『MURAKAMI SEVEN IPA』を手掛けているブリュワーは中村壮作君ですが、香りの強度は上がっている感じでしょうか。ただ、香りを引き立てると雑味が出てくる。そのあたりのバランスが考慮された味わいに仕上がっていると思います。一応、2017年にプロトタイプをエクスキューズとして出しているので、そこから原料などの配合など調整しながら変わっているとは思いますが、大きな変化はありません。」
         
              

Q.村上さんが指示をしたり試飲後に意見を言うことはあるのでしょうか?

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「試飲はしますが、僕が何かを言うことはないですね。まず、私はホップサイエンティストであり、醸造するのはブリュワーです。造り手はクリエイターですので、彼らの好奇心や想像力をかき立てるようなホップを渡すことが私の仕事だと考えています。なので、彼らの仕事に私がいろいろと言うことはありません。」
          
              

Q.素敵な関係性ですね。

           
「ちなみに、蒲生というブリュワーがいるのですが、彼は努力の天才でした。年下なんですが、私は本当に尊敬しています。とにかく、“これをこう分析してくれ”と15歳年齢が離れているのに、どんどん言ってきますから。ちなみに、以前ホップについて取材してましたよね。」
(※ホップについて取材したコラムはこちら ≫)
         
          

Q.ディップホップ製法について杉村さんと土屋さんにお話を聞きました。

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▲ ディップホップ製法の簡単な流れ

           
「あのディップホップ製法のやり方をつくったのも、蒲生なんです。いまだに覚えていますが、彼が瓶ビールを持って来て、“村上さん、こんなビールができました!”と言ってきたんで試飲するとすごく美味しい。彼にその理由を聞いてみると、“どうしてでしょうね?”と逆質問。」
          
              

Q.面白いエピソードですね。

          
「彼らは職人技としてディップホップ製法のやり方を見つけるのですが、それを社内的に説得して活用するためにはサイエンスが必要になります。それも、私たちの仕事なんですね。結果、ディップホップ製法は今も使用されています。」
         
           

Q.ホップを造る人、ビールを醸す人。この化学反応を想像すると興奮します。

          
「ほとんど毎日、互いに刺激し合っていますよ。」
         
            

第二回まとめ

第二回では、「ムラカミセブン」のこと、そしてブリュワーとの関係性などをお聞きしました。
最終回となる第三回では、村上さんの夢や日本産ホップの現状についてお聞きしています。
          
           

関連コラム

        
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