マロラクティック発酵(M.L.F.)とは?


マロラクティック発酵とは?

          
マロラクティック発酵とは、ワイン醸造の発酵工程において行われるもので、通常は主発酵(アルコール発酵)の後に行います。(※すべてのワインに行われるものではありません。)
            
              

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リンゴ酸(Malic acid)と乳酸(Lactic acid)による発酵(Fermentation)であるため、Malo-Lactic Fermentationと書き、M.L.Fという略称もよく見られます。
          
             

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上の図のように、ブドウの中に含まれる糖分が、酵母の働きによってエタノール(アルコール)と二酸化炭素に分解される「主発酵」に対し、果汁やワインの中に含まれるリンゴ酸が乳酸菌の働きによって、乳酸と炭酸ガスに分解される発酵を「マロラクティック発酵」と呼びます。

赤ワインではほとんどのものがマロラクティック発酵を行いますが、白ワインでは行わないものも多く“マロラクティック発酵による変化をどのように活かすのか”、“どのようなワインを目指すのか”によって、マロラクティック発酵を行うか否かが決まります。
           
             

マロラクティック発酵による変化

           
M.L.Fによる変化その①:酸味が柔らかくなる

鋭い酸味を感じさせるリンゴ酸が乳酸に変わるので、酸味の角が取れて味わいがまろやかになります。(リンゴ酸より、乳酸の酸味は弱くて穏やかなため)


M.L.Fによる変化その②:味わいに複雑味が出る

マロラクティック発酵の過程において、様々な副産物(ジアセチルやアセトインなどの化合物)が生成されるため、それによって味わいに複雑味が増します。


M.L.Fによる変化その③:ワインの微生物に対する安定性が強まる

リンゴ酸は、微生物にとって食べられやすい性質の酸であり、これが食べられにくい乳酸に変わることでワインがより安定して熟成することができます。
         
            

マロラクティック発酵を行うワイン・行わないワイン

         
上記のようなマロラクティック発酵による変化を踏まえると、マロラクティック発酵を行うワイン、行わないワインには以下のような傾向があります。

●M.L.Fを行うワイン
・寒冷地の白ワインの中で酸度が高く、減酸が必要なもの
・木樽の熟成香など、複雑な味わいを持たせたいもの:シャンパーニュやブルゴーニュの高級白ワインなど
・柔らかい酸味や複雑味、熟成を求める赤ワイン:ほとんどの赤ワイン
※ボージョレ・ヌーヴォーは熟成や複雑味ではなく、シンプルなフレッシュさが求められるため、M.L.Fを行わないと説明されていることが多いですが、酸味が強い場合や造り手によってはM.L.Fを行うこともあります。

●M.L.Fを行わないワイン
・フレッシュさ、シャープな酸、ぶどう本来の繊細な風味などを残したいワイン:アルザスのリースリング、ソーヴィニヨン・ブランなど
・温暖な産地でもともと酸が少なく、減酸する必要のない白ワイン
           
           

マロラクティック発酵をしているワインかどうかの見分け方

         
残念ながら、マロラクティック発酵をしているかどうかは、ワインのラベル表示からはわからないことがほとんどです。
が、以下のように、ワインメーカーや輸入元、販売店の商品詳細ページに書かれていることは多いです。

マロラクティック発酵を行っている白ワインと、そうでない白ワインを比較してみたい、などと言う場合は、ワインショップでソムリエさんに聞いたり、ワインの詳細ページで確認してみましょう。
           
           

16712▲ カーヴが運営するワインショップ「カーヴ the select」での表示例。
とはいえ、生産者によっては公表していないケースもあり、全てを把握するのは難しいためご注意を!

              
                 

マロラクティック発酵の今と昔

           
ブルゴーニュの伝統的な白ワイン製法だという説もあるマロラクティック発酵ですが、古くは製造の過程で混入した野生の乳酸菌と乳酸菌の繁殖する温度条件などが重なり、自然に起こる現象でした。
しかし現在では、自然に起こるマロラクティック発酵は不安定なため、意図的にマロラクティック発酵させることがほとんどであり、そのための乳酸菌スターター(フリーズドライで粉末状のもの)が市販されています。

近年の傾向

            
冒頭で述べたように、マロラクティック発酵は、主発酵であるアルコール発酵の後に行うことが多いですが、現在はアルコール発酵とマロラクティック発酵を並行して行う、コ・イノキュレーション(仏 co-inoculation)も広く行われるようになってきています。

詳しくはこちら
>> マロラクティック発酵の新技術 Co-inoculation(コ・イノキュレーション)とは?
           
              

参考

          
●国産赤ワイン製造における市販乳酸菌スターターを用いたマロラクティック発酵試験(恩田 匠)
 日本醸造協会誌 2015 年 110 巻 9 号 p. 628-635

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(日本ソムリエ協会認定シニアワインエキスパート 薬剤師 鈴木明人)


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