【前編】マリアージュの可能性は無限大!?清酒用7号酵母で仕込む超低温発酵白ワイン「ぎんの雫 ~GOUTTE D ARGENT~」が誕生!|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

突撃リポート

【前編】マリアージュの可能性は無限大!?清酒用7号酵母で仕込む超低温発酵白ワイン「ぎんの雫 ~GOUTTE D ARGENT~」が誕生!

             
ワインでもない、そして日本酒でもない。

そんなユニークなワインが誕生しました。

それが、清酒用7号酵母で仕込まれた超低温発酵白ワイン「ぎんの雫 ~GOUTTE D ARGENT~」
           
            

17542        
〈ぎんの雫〉の名は、あの漫画「神の雫」で知られる亜樹直氏が考案したものだそうで、ラベルデザインもスタイリッシュな魅力的です。

先日、このワインを手掛けた世界的に著名なフランス人醸造家でチリ「VINA MARTY」のオーナー兼醸造責任者のパスカル・マーティ氏が来日。
            
             

17531

▲ 「VINA MARTY」のオーナー兼醸造責任者のパスカル・マーティ氏

            
早速、来日場所であるワインショップソムリエを訪れ、マーティさん本人にどんなワインなのかお話をお聞きしてきました。

正直言います。

〈ぎんの雫〉は、日本人が待ち望んでいた「ワイン」です。

ぜひ、最後までお読みください!!
             
             

〈ぎんの雫〉を開発した経緯について

17537              

Q.日本酒にはもともと興味があったのでしょうか?

             
「30年以上前にボルドー大学で醸造を学んでいた頃、“白ワインは低温で造れ”と教わりました。
これは現在でも業界の定説であり、最初は7度からスタートさせ、少しずつ12度程度まで温度を高めていくのが一般的とされています。低温で発酵させる理由はワインのアロマを残すためですが、この頃から私は、“7度以下で醸造したらどうなるのか?”ということに強い興味を抱いたんです。
しかし、7度以下で活動できる酵母はワインには無いため造ることはできませんでした。」
              
              

Q.もともと日本酒のような超低温発酵に興味があったのですね。

           
「そんな折、〈トゥエンティーワンコミュニティ〉とお付き合いするようになったことで日本を訪れるようになり、そこで日本酒と出会うことができました。
吟醸や普通酒の違いがあることも知らなかったのですが、日本酒は低温で造ることを知り、さらに日本酒酵母は7度以下でも活動することも知ったのです。
“もしかしたら、日本酒酵母を使えば、7度以下の温度でワインが造れるかもしれない”。まず、これが〈ぎんの雫〉を開発する発端となりました。」
            
             

Q.さまざまな協力を得て完成させることができた、と聞いています。

17538          
日本酒酵母で低温発酵ができる、ということは分かりました。しかし、ワインはブドウが原料で日本酒は米が原料ですので、全くの別物です。
そのため、まずは科学的にアプローチする必要がありました。さらに、酵母を供給するのは日本醸造協会ですので、こちらにもコンタクトを取る必要もあったんです。
もともと〈トゥエンティーワンコミュニティ〉の代表取締役である守川氏にいろいろと日本酒のことを教えていただいていたのですが、日本酒を造っている醸造家で酵母の働きにも詳しい方を紹介してほしい、と頼んだのです。」
          
            

Q.簡単に着手することもできなかったんですね。

         
「守川氏は山口県の出身ということで、『獺祭』で有名な旭酒造と縁があり、当時社長だった桜井博志氏を紹介してもらえることになったんです。」
           
            

Q.そこからはスムーズに?

           
「構想自体は2012年にスタートしており、桜井氏と出会ったのが2014年。ここからスムーズに行くと思ったら、酵母を入手するところでつまずきました。
日本酒酵母は、日本醸造協会が一括管理しており、そのメンバーでないと入手することができなかったんです。」
             
            

Q.となると、マーティさんはメンバーになられたんですか?

17529

▲ 2016年。晴れて外国人として初となる日本醸造協会のメンバーに。
 ※マーティ氏の向かって左側の方が代表理事会長の岡崎氏

            
「日本醸造協会は、日本国籍の方以外は会員になれなかったのですが、私はチャレンジし続けました。
結果、2016年。私は外国人として初めて日本醸造協会のメンバーになることができ、酵母を入手することが叶いました。」
              
            

Q.ついに着地ですね。

           
「いえ、次は酵母の輸入で問題が発生しました。チリでは、酵母は“バクテリア”として認識されるため、日本から取り寄せた酵母が税関でストップしてしまったんです。
届いた頃には収穫時期が終わっており、その年にワインを仕込むことはできませんでした。順当に行けば、2017年にできる予定だったのですが、結果的に2018年に仕込むことになり、現在に至ります。
構想から6、7年ですか…。とても長いプロセスでしたね。」
             
           

Q.ひじょうに長い時間がかかったようですが、一時も〈ぎんの雫〉のことは忘れなかった?

         
「もちろんですよ!」
         
           

ソーヴィニヨン・ブランについて

17541              

Q.〈ぎんの雫〉は、ソーヴィニヨン・ブラン100%で造られています。なぜ、ソーヴィニヨン・ブランだったのでしょうか?

            
「もともとフランスの出身であり、ボルドーでもっとも有名な白ブドウ品種はソーヴィニヨン・ブランです。また、シャルドネはやや高めの温度で発酵させますが、ソーヴィニヨン・ブランはそれよりも低温で発酵させます。
自分がよく知っている品種、そして低温発酵させる品種であることが重要だったので、ソーヴィニヨン・ブランを利用するのは自然の流れでした。」
             
             

Q.ほかの理由はありますか?

           
「ソーヴィニヨン・ブランは、もっとも早い時期に収穫されるため、一番に醸造所へやってきます。シャルドネやほかのブドウはもっと後の収穫されます。
もし、後に収穫される品種だとワインがタンクに仕込まれているため、せっかくの7号酵母に他の酵母が混ざってしまう可能性があるんです。今回、純粋な7号酵母を使いたかったのも理由のひとつですね。」
          
           

Q.7号酵母にソーヴィニヨン・ブランを使用するのは、自然なことだったんですね。

           
「また、シャルドネとの比較もありました。シャルドネはシンプルなブドウで、土地のテロワールを反映させることが特徴です。一方、ソーヴィニヨン・ブランはもっと繊細で、素材と酵母の組み合せを考えなければいけません。つまり味わいやアロマが、酵母の影響を受けやすい品種なんですね。
そういった面からも、シャルドネよりソーヴィニヨン・ブランの方が適正だったと考えています。」
           
           

Q.ヴィニャ・マーティの、〈イライア〉にもソーヴィニヨン・ブランがありますが、何か違いはありますか?

17544            
「畑がある場所は、レイダというとても冷涼な気候の場所です。基本的に、〈イライア〉と〈ぎんの雫〉に使用しているソーヴィニヨン・ブランの畑は全く一緒なのですが、収量に違いがあります
〈イライア〉はやや収量が多めですが、〈ぎんの雫〉はよりブドウの収量を絞っている感じですね。」
イライアの商品ページはこちら ≫
             
             

醸造について

17534              

Q.清酒用7号酵母を使用してどのように風味をコントロールしたのでしょうか?

             
「前提として、こちらで何かをコントロールした、ということはありません。まず、大切なのは環境を整えることでした。
いくら“低温”と言っても、発酵中に酵母が活発になり炭酸が増えてくると同時に香味成分も揮発してしまい、自然と香りが弱まってきてしまいます。しかし、今回は低温で酵母が活発に動くことがなくガスがあまり出なかったため、普段揮発するようなアロマをワイン中に閉じ込めることができました。」
            
             

Q.アロマがたっぷりと閉じ込められているんですね。

            
「アロマをより多くワイン中に閉じ込める、というのは私にとってゴールであり達成することができました。ただ、7号酵母にはほかの効果もあったんです。
通常のソーヴィニヨン・ブランは発酵するのに10~15日程度かかりますが、〈ぎんの雫〉は、40日~50日間…少なくとも普段の3、4倍の時間がかかりました。
           
            

Q.とても長い期間発酵させていたのですね。

17545          
「このくらいの長い期間発酵させると、酵母の世代交代が多くなります。どんどん新しい酵母が増殖していくため、“何世代前まで遡るのか?”というほど、世代が交代していきました。
その数多くの酵母は死骸となり細胞壁が破壊され中からワイン中にさまざまな成分が溶解していきます。コクを出すためにバトナージュを行なうことがありますが、〈ぎんの雫〉では、これが自然に起こっているような状況になっていたんです。」
           
           

Q.一般的なワインでは考えられないですね…。

           
「さらに、日本酒の酵母を使用しているので、その香りもワイン中にあります。今までにないものを造る、ということがモチベーションとなり、いつものワイン造りとはまた違う興奮を味わうことができました。
ソーヴィニヨン・ブランではなく、違う品種でも造ってみたいという思いもありますね。」
           
           

前編まとめ

           
前編では、〈ぎんの雫〉が完成させるまでのストーリーやソーヴィニヨン・ブラン、醸造についてお聞きしました。
後半では、実際に〈ぎんの雫〉の味わいやマリアージュなどについてお聞きしています。

お楽しみに!
            
           

ご参考

             
・ぎんの雫 


・ヴィニャ・マーティ一覧ページ


・ワインショップソムリエ
   

関連コラム

・【後編】マリアージュの可能性は無限大!?清酒用7号酵母で仕込む超低温発酵白ワイン「ぎんの雫 ~GOUTTE D ARGENT~」が誕生!

caveおすすめのワイン
  • 「ワインを買う」という行為を少しでも、より楽しくできればと願い・・
    caveスタッフが厳選した、毎月オススメのワインをお送りいたします。

    これまで、「赤ワイン」「白ワイン」以上のことはあまり分からなかった方々。
    なんとなく「買っては飲んで」を繰り返し、結局自分が好きなワインは何なのか、いまいちわからなかった方々。

    そんな様々な「わからない」を解決するための特典を多数ご用意しております!
    「ワインを買う」という行為を少しでも、より楽しくできればと願い・・
    caveスタッフが厳選した、毎月オススメのワインをお送りいたします。

    これまで、「赤ワイン」「白ワイン」以上のことはあまり分からなかった方々。
    なんとなく「買っては飲んで」を繰り返し、結局自分が好きなワインは何なのか、いまいちわからなかった方々。

    そんな様々な「わからない」を解決するための特典を多数ご用意しております!
CAVE THE SELECT
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。

The following two tabs change content below.
ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。
ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。
ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

関連記事