山本昭彦さんの著書「ブルゴーニュと日本をつないだサムライ」出版!トークイベント「なぜ日本でブルゴーニュが人気なのか」をレポート!|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

突撃リポート

山本昭彦さんの著書「ブルゴーニュと日本をつないだサムライ」出版!トークイベント「なぜ日本でブルゴーニュが人気なのか」をレポート!

             
ワインレポート代表でワインジャーナリストの山本昭彦さんの著書『ブルゴーニュと日本をつないだサムライ』(イカロス出版)が出版されました。

ブルゴーニュの”大使”として、フランスと日本を繋いだエージェント坂口功一氏の半生を描くだけでなく、ブルゴーニュワインが日本の愛好家たちに惹かれていった平成ワインブームの考察、そしてトップジャーナリストとして活躍する山本さんが大勢の造り手に取材した内容など、ワインファン必読の一冊となっています。

先日、そんな同書の出版に合わせて坂口功一さんとインポーター幹部の3人によるトークイベント「なぜ日本でブルゴーニュが人気なのか」がアカデミー・デュ・ヴァン青山校にて開催。

山本さんの司会のもと、ワイン界の重鎮たちによる貴重な日本のブルゴーニュワイン発展史が語り合われました。

今回、カーヴも同イベントに参加。前半ではイベントのレポート、後編では坂口さんへのプチインタビューをお送りいたします。
           
              

今回のイベントの登壇者

17422▲ 左から、AmZ会長の松田豊氏、ソシエテ・サカグチ代表の坂口功一氏、ワインレポート代表の山本昭彦氏、ラック・コーポレーション専務取締役の矢野映氏、中島董商店 海外担当部長の布施真氏
           
              

注目度の高さに驚き!

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今イベントが開催されたのは平日の午後。集客しやすい日程ではないものの、当日は満席状態という大盛況ぶりでした。

当然、坂口さんをはじめとしたワイン業界の重鎮たちが集うトークイベントということもありますが、日本のワイン業界関係者や愛好家にとって「ブルゴーニュ」は、注目を集めるキーワードになりやすいのかもしれません。
              
             

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▲ ワインレポート代表でワインジャーナリストの山本昭彦氏

            
「仕事柄、数多くの生産者やジャーナリスト、マスター・オブ・ワインと会食するが、皆日本のブルゴーニュワインの品揃えの豊富さに必ず驚く。なぜこんなにも日本人にブルゴーニュワインが愛されているのか…。今日は、本には出ていない話も含めて、さまざまな話を引き出したい」と冒頭、山本さんが挨拶。

結果、貴重な話ばかりが飛び出すイベントとなり、参加者全員が一音一音を聞き逃すまいと真剣な眼差しで話に聞き入っていたのが印象的でした。
         
           

坂口さんの魅力

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▲ ソシエテ・サカグチ代表の坂口功一氏

            
今イベントでは、坂口さん本人の半生についてだけでなく、各インポーターとの出会いなどさまざまなトークが展開されました。

坂口さん本人からは、学生の頃にシベリア鉄道経由でヨーロッパを周遊しワイン文化に触れたこと、大手商社にいた頃の思い出や葛藤、ワイン貿易会社として独立し日々奔走していた時代のお話。

各インポーターからは、それぞれ出会った頃のお話やブルゴーニュのドメーヌをかけずりまわった話などが語られます。

個人的に印象的だったのが、AmZ会長で当時ラック・コーポレーションの社員だった松田豊さんのお話。
          
            

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▲ AmZ会長の松田豊氏

            
「坂口さんと出会ったのは1985年頃。最初、売り込みに来たのだが、リストがオー・ド・ヴィーばかりなのでコレは売れないと伝えた。ただ、“ブルゴーニュの辛口の白ワインなら”と伝えたところ、一ヶ月ですぐに探して来てくれた。その行動力、そして早さに驚くばかり」と、松田さん。

今でこそネットで簡単に繋がれる時代ですが、当時これといった手軽な連絡手段が無かった時代です。そんな中、さまざまなインポーターの要望に応えるために確実な情報を誰よりも早く届けていた坂口さんの行動力は計り知れません。

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中島董商店・海外担当部長の布施真さん(写真:右)、ラック・コーポレーション専務取締役の矢野映さん(写真:左)も、坂口さんの仕事ぶりを絶賛。

エネルギッシュで誠実な人柄の坂口さんに心底惚れ込んでいる…ということが、ひしひしと伝わってくるクロストークとなっていました。
           
           

ブルゴーニュワインを取り巻く環境について

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今イベントの主題は、「なぜ日本でブルゴーニュが人気なのか」ということもあり、まだブルゴーニュワインがそこまで国内で流通していない頃の話も展開されました。

伊勢志摩観光ホテルにて富裕層にブルゴーニュの高級ワインが飲まれていたこと、ネゴシアン神話説があったこと、特級もの以外は見向きもされなかったことなど、ブルゴーニュワインを取り巻く環境が今のそれとは大きく違っていたことなどが語られます。

その中でも、やはり話題となったのがワイン評論家であるロバート・パーカーJrの著書「Burgundy(邦題 ブルゴーニュ)」の日本語版が出版されたこと。

「やはり、彼のこの著書が出たことは大きかった。いろいろと、私たちにもお声がけがありました」と、中島董商店の布施真さん。

ACヴィラージュ(村名)などのカテゴリーのブルゴーニュワインにも注目が集まり出し、少しずつ雰囲気が変わっていった頃だったようです。

また、別の話題の最中に、「近年、ヴィンテージに左右されない若手の良い生産者が増えている」といった話に。

さらに、そこから消費者にあまり知られていない「A.O.C.」をなぜ各インポーターは発掘しているのか、というような話題へと深堀りされていきます。

           
「マイナーA.O.C.でも、若く優秀な生産者が増えている。まず彼らは今、昔無かったSNSというツールを使って情報交換を盛んに行なっている。試飲会も積極的に参加し、交流をはかることで、“今何をすべきか”とか“どうやって醸造すべきか”など意見交換が活発に行なわれていることが大きい。その時、どう対処すべきか、というトラブル対策ができる若い生産者が多いため、昔のようにヴィンテージにこだわる必要がなくなってきている側面もある」という意見など、ブルゴーニュでのワイン造りにおける時代の変化にも言及する場面もありました。

これから先、どんなブルゴーニュワインが日本の市場を席巻していくのか想像させてくれる、興味をそそられるクロストークとなっていたのではないでしょうか。
          
             

貴重なワインとそれにまつわるトーク

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今イベントでは、3種類のワインが登場。

「ワインセミナーではありませんので、お話を聞きながら楽しんでみてください」と山本さん。

ワインを主役に坂口さんや各インポーターによる思い出話などが添えられた、贅沢なテイスティングとなりました。

【今回、提供されたワイン】

・ドメーヌ・ルフレーヴ ピュリニー・モンラッシェ2016(写真:右)

・ドメーヌ・ダヴィド・デュバン ニュイ・サン・ジョルジュ2014(写真:中央)

・メゾン・ルモワスネ ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ・レ・ショーム1979 (写真:左)



今回、登場したワインの中でも個人的に特に印象的だった話が「ドメーヌ・ルフレーヴ」のお話です。
「当時、飛び込みでルフレーヴを訪れました。当時、アンヌ・クロードと父親のヴァンサンとお話したのですが、何が理由か気に入ってもらえたようで、“また来てもいいよ”と言われたことを思い出します。その後、ドメーヌを訪れアンヌ・クロードやヴァンサンとテイスティングをよくしました。彼女は、テイスティングする時鋭い眼差しでこちらのコメントを待っているので、緊張しますね。芯が強く、男性的な性格と感じますが、とても素敵で魅力的な女性です」と、坂口さん。
             
              

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▲ 娘と2人で写るアンヌ氏。この時はとても優しい目をされているが、テイスティングの時はとても鋭い眼差しだったと語る坂口氏。

            
世界トップクラスの白ワインを造るドメーヌ・ルフレーヴでのエピソードをもっている日本人はそうそういないはず…。お話の節々から、坂口さんという人物の偉大さが伝わってきます。

そのほか、ドメーヌ・ダヴィド・デュバンのデゥヴァン氏は優秀な造り手でありながら鼻の頭にワインを乗せる芸を披露してくれるユニークな人物というエピソードや、「古酒の魔術師」と呼ばれたメゾン・ルモワスネのローラン・ルモワスネ氏所有の古城で行なわれた豪快接待エピソードなど、どれもユニークで興味をそそる話ばかりが…。

伝えきれないのが残念ですが、ぜひ細かなエピソードは山本さんの著書『ブルゴーニュと日本をつないだサムライ』でチェックしてみてください。
          
             

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なぜ、日本人はブルゴーニュワインに惹かれるのか?

         
最後、坂口さんと各インポーターによる、「なぜ日本でブルゴーニュが人気なのか」という考察が行なわれました。

簡単にまとめると…

・シャブリやアリゴテなどのミネラリティを感じ取れるところなどが、繊細な日本人の味覚に合った。

・ボルドーのようなスパイシーでパワフルなものより、タンニンがソフトでデリケートなブルゴーニュが体格に合ったのではないか。また、単一品種というところも魅力と捉えられた。

・モザイクのようなテロワール、細分化するドメーヌなど本来複雑で敬遠しがちな部分だが、「知りたい」という探究心の強い日本人の性格に合った。


と、まとめられていました。

ちなみに、それと同時に各氏思い出に残るワインを紹介。

中島董商店の布施さんは…

・ルシアン・ル・モワンヌ シャンベルタン・クロ・ドベーズ 2000

ラック・コーポレーションの矢野さんは…

・アルマン・ルソー シャンベルタン 1928

AmZの松田さんは…

・ルモワスネ モレ・サン・ドニ 1978

をチョイス。

坂口さんは…

・ジョセフ・ロティ シャルム・シャンベルタン 1985
・ドメーヌ・デュジャック クロ・ド・ラ・ロッシュ 1969
・ロマネ・コンティ 1989
・ルモワスネ ミュジニー 1928
・アルベール・グリヴォー  ムルソー・クロ・デ・ペリエール 1928

の名を…。

皆さん、「1本は難しいですが…」というところからエピソードを交えてご紹介してくれたのですが、さすがは坂口さん。これだけのワインをヴィンテージもしっかりと記憶されて出せるのですから、心底ワインがお好きなんだな、と個人的に勝手に感動してしまいました。

さて、「これから、ブルゴーニュのグラン・クリュなどは価格がより高騰していくと考えられる。とても簡単に手が出ない価格のものも増えていくだろう。しかし、この素晴らしいブルゴーニュのワインたちは、永遠に求め続けられていくと思う」と坂口さん。

仮にこれからブルゴーニュワインの価格が高騰を続けたとしても、さらに「いつかはグラン・クリュを飲める大人になりたい」という方も必ず出てくるはずです。

5年後、10年後、日本のワイン市場がどうなっているかは誰も想像できないかもしれません。しかし、その中に「ブルゴーニュ」というカテゴリは決して無くなることはない…。そんなことを、強く思えたトークイベントでした。
         
          

ブルゴーニュを見つめてみよう!

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ここでは、先日開催されたトークイベント「なぜ日本でブルゴーニュが人気なのか」のレポートをお伝えしました。

坂口功一という一人の日本人エージェントの存在があったからこそ、日本とブルゴーニュが今深い絆で結ばれていると言っても過言ではありません。

教科書に書いてあるA.O.C.を覚えたり、ひたすら銘柄を追いかけるのも面白いですが、こういった、「人物のストーリー」に目を向けてみるのもブルゴーニュワインをより美味しく飲むための一助となるのではないでしょうか。

坂口さんの魅力やブルゴーニュの最新情報などは、山本昭彦さんの著書『ブルゴーニュと日本をつないだサムライ』(イカロス出版)にたっぷりと書かれています。

ブルゴーニュワインファンはもちろん、ワインを愛する人全てに呼んでほしい一冊です。

ぜひ、この機会にブルゴーニュという銘醸地を一人の「男の半生」を軸に見つめ直してみてはいかがでしょうか?
           
           

ご参考

            
ワインレポート


『ブルゴーニュと日本をつないだサムライ』(イカロス出版)
            
              

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ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。
ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。
ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

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