若手醸造家2人が醸す魅力溢れるワイン!安曇野市のワイナリー「Le Milieu(ル・ミリュウ)」に注目!|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

突撃リポート

若手醸造家2人が醸す魅力溢れるワイン!安曇野市のワイナリー「Le Milieu(ル・ミリュウ)」に注目!

             
今年2月に東京で開催された、「NAGANO WINE FES. in TOKYO」
長野県から30社、90種のワインが一堂に会する大規模な試飲会だったのですが、そのなかで個人的に心掴まれる1本のワインとの出会いがありました。
           

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品種はメルロで、個性的な味わいなのですが、ネガティブな香りを良しとする美味しさとは違う、クリーンな風味。
果実味と厚みはあるのですが、酸がしっかりとしており飲み飽きしない素晴らしいワインだったことから、一口目で心掴まれてしまいました。

さて、僕が心掴まれたそのワインを造っているのは、安曇野市にあるワイナリー「Le Milieu(ル・ミリュウ)」というワイナリー。
創業者は、31歳の若手醸造家2人ですが、話を聞くとお二人とも「ワインのプロ」として長く業界で活躍していたのだそう。

その日以来、なかなか頭(舌と胃)からその味わいが離れず、先日ワイナリーが位置する安曇野市明科へ直行。
              
               

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代表 醸造家の塩瀬豪さん(写真:右)、副代表 醸造家の齋藤翔さん(写真:左)にル・ミリュウについて、そしてワイン造りへの思いなど、さまざまなお話をいただきました。

2018年に創業したばかりの、まだまだ新しいワイナリー「ル・ミリュウ」。
この機会に、ぜひ皆さんもチェックしてみてください!
             
                 

Q.ル・ミリュウをスタートさせた経緯をお聞かせください。

             
塩瀬「僕と齋藤は別のワイナリーで働いていたのですが、共通の知人を通じて知り合いました。
そこから会う回数を増やしていき、色々な話を重ねていった結果、『ル・ミリュウ』を安曇野で立ち上げることになったんです。」
            
              

Q.安曇野である理由は何だったのでしょうか?

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齋藤「僕は、安曇野が地元なんです。ソムリエとして働いた後、安曇野ワイナリーでも醸造も経験しています。一方、塩瀬はスイス村ワイナリー『あづみアップル』で醸造家として10年間働いていました。」
             
             

Q.二人とも安曇野という地に共通点があったわけですか。

            
塩瀬「彼は地元ですが、僕はそうではありません。ですが、今はこちらに引越してきて安曇野が大好きになりました。いろいろと理由はあるのですが、“安曇野を大事にしたいからこの場でワインを造る”というほうが、今ではしっくり来ています。」
            
             

Q.畑は自社所有のものでしょうか?

              
齋藤「安曇野にブドウ畑を開墾して5、6年目になります。ほかの農家さんが始めていたところに僕らも加わった形で、10haある中の1haほどを農家さんに借りているといった感じです。」
              
               

Q.どんな品種を栽培されているのでしょうか。

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塩瀬「白ブドウは、シャルドネですが、今後はソーヴィニヨン・ブランも栽培する予定です。黒ブドウは、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、ネッビオーロ、シラーですね。」
              
              

Q.なかなか面白いラインナップですね。

              
齋藤「ただ、畑を始めるにあたって、“しっかりと栽培できる品種”でやっていった方が良いのではないか、という方向性で考えました。
僕たちはピノ・ノワールも大好きなのですが、管理という部分でまだ難しいと考えています。自分たちが面白がってワイン造りができるようになるまでは、まだ植えなくても良いのかなと思っています。」
               
              

Q.ブラック・クイーンなどは栽培されないのでしょうか?

              
齋藤「確かに長野では、ブラック・クイーンなどの改良品種が多く栽培されています。ただし、こういったブドウ品種は棚栽培が主流であり、僕たちの畑に棚をつくるのはさまざまな面で難しいんです。ちょっと、今の段階で自分たちが棚栽培をする…というのところに踏み込める状況ではないですね。
ただ、以前働いていたところから地元の『竜眼(りゅうがん)』を手に入れられたので、それは扱うことができていますよ。」
                
               

Q.畑の話題が出ましたが、“安曇野のテロワールは?”ということを聞かれませんか?

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塩瀬「テロワールですか…。とても難しい表現だと思います。冷涼であり、日射条件も良い場所ですが、それは日本中至る所にあります。
僕は、“安曇野らしさ”ということがまだ分かりません。もちろん、塩尻らしさ、山梨らしさというところも理解しているわけでもありません。なので、安曇野のテローワルを完全に理解したとか栽培環境が気に入ったからというよりも、先にお話しましたが、“安曇野を大切にしたい”という思いで造っています。」
                
               

Q.現在、造られているワインのラインナップを教えてください。

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齋藤「赤ワインはメルロ、白ワインはシャルドネ、竜眼のオレンジワインと一般的な白仕込みのワインです。ただ、シャルドネと竜眼の白ワインはお出しできる分が無くなってしまいました。」
               
              

Q.お二人が醸すワインは個性的ですがクリーンな味わいでとても驚きました。醸造にこだわりが?

              
塩瀬「大手さんだったり、もう先にやられている先輩のワイナリーの方々は経験があるので追いつかない部分もたくさんありますが、僕たちもプロとして今までワインに携わってきました。そんな僕らだからこそ、“とことん二人で話し合ってワインを仕上げていく”という部分を大切にしています。」
              
              

Q.二人で話合いをすることが重要?

               
塩瀬「僕と齋藤は、ワインに対して互いに違う目線を持っているのですが、それが独立した理由のひとつでもあるんです。
ソムリエの経験がある齋藤と10年間工場でワインを造ってきた人間だからこそ、二人の意見をしっかりと言い合ってよいものを仕上げることにこだわっています。」
              
              

Q.近頃は“ビオ”、“ヴァンナチュール”といった造り手が多いと思うのですが、そういった造りに興味は?

             
齋藤「畑においては、少しずつ有機に切替えてきたいと思っていますし、天然酵母での醸しにも興味はあります。ただ、まだ全てが試験段階といったところです。
観念だけに頼って造るのではなく、今まで自分たちが培ってきたもので、より良いワインを目指すことに注力しています。」
            
              

Q.一歩ずつ着実に、という感じが素敵ですね。

             
齋藤「今飲んで美味しいワインと熟成させたら美味しいワインというのは、世界観が違うと思っています。
例えば、地元で造られてすぐに地元に消費されるため亜硫酸を使わないワイン。一方で、5年、10年と先を見越して飲まれるワインの世界は全く別ものですよね。
どちらかがダメでどちらかが良いということではなく、僕はその両方を造るのもアリだと思っていますし、チャレンジしていきたいと考えています。」
             
             

Q.二人の思いがさまざまなワインを生み出していきそうですね。

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齋藤「僕は自然派ワインも飲みますし、塩瀬のようにクリーンなワインも好きです。ソムリエをしていた時にネガティブな反応をせざるを得ないワインとの出会いもありますが、それをどう美味しく飲んでもらうかというのも仕事です。
こんな感じで二人の目線は違っていても、自由に好きなことを言える関係ですし、互いのナチュラルに造る部分やテクニックを重視した部分の良いところを取りながら、より良いワインを造り続けたいですね。」
              
              

Q.ちなみに樽はお使いになっていないですよね?

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塩瀬「今は、樽ではなくステンレスタンクですね。今年の秋から新樽を入れ、古樽は入れられたら入れたいと考えています。ただ、新樽の方が比率は高くなると考えています。」

齋藤「僕は、樽が強過ぎるのは好みではないのですが、ワイン全体のバランスが取れているのであれば、新樽比率はあげても良いと考えています。香りが全くつかないワインもどうかな…というところもありますし。」
              
             

ル・ミリュウのワインについて

              
現在、ル・ミリュウに残っているワインが、メルロと竜眼のオレンジワインの二つ。そのワインについてお聞きしてみました。


メルロについて

齋藤「メルロは、ステンレスで醸したフレッシュなタイプの赤ワインです。樽由来の香ばしさを排した、フレッシュな果実観やベリーのニュアンスが前面に出ています。タンニンは、やや荒々しい部分がありますが、セニエなどの過渡な抽出をしていないので、果実感とのバランスが良く、ほど良く渋みがある程度と感じてもらえると思います。」


竜眼 オレンジワインについて

齋藤「これは、やったことが無かったのでチャレンジしたという感じです。竜眼自体がパワフルなブドウではないのですが、白ワインを造った時の皮も入れているので、色がしっかりと出ています。花系のフローラルなニュアンス、酸味もしかりとしているのでスッキリお飲みいただけます。実は、竜眼を使用しているのですが、補糖をしていないのでアルコール度数は8%です。そのため、香りがしっかりと引き出せていると思っています。」
             
              

ワイン醸造家として…

           
ここからは、ワイン醸造家としての思いを塩瀬さんにお聞きしました。
           
              

Q.独立組で「二人」というのは本当に珍しいですね。

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「一人だと、どうしても自分のこだわりが強いものができてしまいます。僕らは二人で造っているからこそ、お客さまのニーズに応えていけるのではないか、と思っています。」
            
            

Q.職人肌のワイン生産者が二人集まると、喧嘩しそうですが…

            
「否定された時に、“うるさいよ!”とはね除けてしまったら僕は負けだと思っているんですよ。お互いに日々学び、試し、切磋琢磨している間柄だからこそ、良い関係を築けているのではないでしょうか。
一人でやっている独立組の方は“個”を大切にされていると思うのですが、僕らは二人だからできることを大切にしていきたいです。」
              
              

Q.日本ワインはブームだ、ということを感じていますか?

              
「盛り上がっているとは思いますね。10年前、僕がワイン業界に入った頃と比較すれば、“ブームが来ているな”と感じます。ただ、業界内だと少し酒質に問題があるものも散見されるようになった…という声も少なからず出てきています。10年前はそんなことはあまり耳にしませんでした。」
               
                 

Q.これは僕個人の意見ですが、個性が強過ぎる日本ワインも正直あると感じています。

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個性と汚染は違う、というのは業界内で言われていることです。僕らもワイン造りをする立場ですが、僕か齋藤のどちらかが“このワインは汚染”と判断した、そのワインをリリースすることはしないようにしています。個性と汚染は違う、という部分は私は特に感じているところです。」
              
                

Q.安曇野でワイナリーを立ち上げて良かったと感じていますか?

               
「安曇野には、大手さんのブドウ畑はもちろん、数多くのワイナリーの畑が点在しています。そのなかには、“独立したい”と思っている方も数名いるなど新たな動きが活発化し始めているんです。
僕らは、この地で独立組の第一号としてワイン造りをしていますが、こういった状況だからこそ色々な仲間が増えました。今後、独立を目指す方への技術提供はもちろん、色々な支援ができれば考えています。仲間づくりができるところが、安曇野の良さと今感じています。」
              
               

Q.近年、ワイナリーを立ち上げる方も増えていますが、アドバイスなどはありますか?

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「僕はワイン醸造を10年間、齋藤はソムリエと醸造を経験するなど、ワインの知識を高めてから独立しています。未経験の方で独立する方とは少し形が違うのですが、もし未経験の方でも、ワイン造りのことを教えてくれる“師匠”のような方が近くにいれば独立しても安心なのではないでしょうか。技術提供はもちろん、客観的に自分たちのワインを判断してくれる人ですね。助け合いというのは、本当にとても大切です。安曇野もそうですが、助け合いがなければ、ワイナリーはもちろん産地の“ブランド”は確立されていかないと思います。」
            
              

Q.最後に、ル・ミリュウの目指すワイナリーの姿をお聞かせください。

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“美味しいものを提供し続けられるワイナリー”。今もこれから先も、こんなワイナリーであることを目指していきたいと思います。」
            
              

取材を終えて

            
若い醸造家×二人組×小規模ワイナリー。個性が強烈な独特な風味のワインを醸す、エッジィなワイナリーをイメージさせるマトリクスですが、ル・ミリュウのワイン造りはとにかく「クリーン」。

さらに、そのクリーンな味わいのベースに彼らの培ってきた技術、ワイン造りの哲学がバランス良くブレンドされた、ほかにはない「美しい個性」も兼ね備えられているところが最大の魅力です。

安曇野を大事にしたいから、安曇野でワインを造る。

シンプルですが、ひじょうに深い言葉だと感じました。

ル・ミリュウのワインはもちろん、彼らの活動などを知りたい方はぜひHPやSNSにアクセスしてみてください!


住所:長野県安曇野市明科七貴4671-1
電話番号:0263-62-5507

合同会社Le Millieu公式サイト

合同会社Le Millieu Facebookページ
           
            

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