【第3回】「醸し人九平次」がフランスでワイン造り!15代目久野九平次さんが語る「日本酒もワインも同じ醸造酒」の真意とは!?|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

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【第3回】「醸し人九平次」がフランスでワイン造り!15代目久野九平次さんが語る「日本酒もワインも同じ醸造酒」の真意とは!?

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日本酒もワインも同じ摂理で出来上がってくる。
発酵の過程をドライブに例えることで、その理由が理解していただけたと思います。(第3回を理解するためにも、ぜひ第2回コラムを一読ください)

さて、ワインにとってブドウは命ですが、それは日本酒にとっても同じ。米の種類やヴィンテージ、精米歩合、セパージュなどが日本酒の味わいを大きく左右します。

久野さんに日本酒に使用する米(酒造好適米)についてお話をお聞きしました。
            
              

同じ山田錦でも自分たちの目には、まったく別のものに見える

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▲ 精米前の山田錦や精米したもの、コシヒカリなど

               
「今、ここにいくつか米を並べました。日本人にとって米は当たり前過ぎる存在ですので、こうまじまじ眺めるケースはないと思います。
先ほどお伝えしたように、これを溶かせば全然タイプの違うジュースになるので、ガソリン(ブドウ糖)のタイプが全然違ってくるという理由が理解できるでしょう。
同じ山田錦であっても、僕らにはここに並べている米の違いくらい、全く別のものに見えるんですよ。」



Q.同じ山田錦でも全く別もの?
                 

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「自分で米を育てているとわかりますが、ヴィンテージによって全く違って見えます
皆さんにとっては何が違うか分からないと思うのですが、僕らの場合は違って見えますし、そうでないとおかしいでしょう。
ワインの世界では、同じブドウがヴィンテージによって違うと語られますが、こういったことを皆さんに訴えかけているんですよ。」



Q.酵母ばかりが注目されていますが、米こそ主役ですね。
              

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「ワインの場合、シンプルだから分かりやすいんです。ところが日本酒は麹をワンクッション入れるんで分かりづらいイメージですよね。特に吟醸酒は、酵母ばかりが影響しているというイメージ。
しかし、原理原則として、スーパーカーのエンジンに軽油ではダメなように、エンジンに合ったガソリンを投入しない限り、その車自体のパフォーマンスは発揮されません
どんなに優れたエンジンでもエンジンだけでは、そもそも車は走り出さないのです。ガソリンを入れないと!」
           
              

米による違いでドライブ日数も変わる

             
「酒造好適米は、今およそ80種類くらいあります。当然、それぞれガソリンのタイプが違います。Aというセパージュにしたら20日、Bというセパージュにしたら25日とさまざまです。」


Q.代表的な酒造好適米だと、どんな感じなのでしょうか?

「30日間というのは、山田錦や雄町のドライブ日数。五百万石は、20日とか25日くらいのガソリンしか供給されません。」


Q.同じ酒造好適米でそこまで違いが…
              

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「日本を関東と関西にざっくりと分けると分かりやすいでしょうか。
まず、山田錦は兵庫県、雄町は岡山県。そして五百万石は新潟県を中心に栽培されています。ブドウと同じように、米にもちゃんと適地があるんです。例えば…」

☆五百万石が栽培されている地域=4月頃に田植え 8月頃に刈り入れ(収穫)

☆ 山田錦、雄町が栽培されている地域=6月頃に田植え 11月頃に刈り入れ(収穫)



「ブドウをイメージするとより分かりやすいと思いますが、早生(わせ)とか晩生(おくて)があり、その中間を中生(なかて)という品種にわかれます。五百石は“早生”、山田錦、雄町は晩生ですね。」


Q.これだけ違えば、味わいも変わってきます。

「ブドウのように潰したら液体がボタっと落ちれば良いのですが、米は硬いまま。想像しにくいんでしょう。では、みかんに例えてみましょう。
10月11月に出回るみかんは小振りで硬い。一方、年が明けてから出回るみかんは大振りでやわらかいですよね。温州みかんにも、早生や晩生がありますが、五百万石と山田錦をこれに置き換えると想像しやすい。」


Q.五百万石は硬い…

「そう。五百万石は、粒が小さくて硬いのが特徴であり溶けにくい…つまり、味わいが出にくいから“淡麗”になる
“新潟は淡麗辛口”なんて良く聞くでしょう?あれは、新潟の造り酒屋さんが技術で、酒の味わいを淡麗に寄せてるのではなく、五百万石だから自然とそうなるんです。
味わいが米から起因する、という軸がすっぽりと抜け落ちてしまっているんです。」
              
            

人的なアタックがヴィンテージとセパージュを越えることは無い

            
「酵母の話に戻りますが、僕が腕のよい鉄人級のシェフだったとします。そこに、和牛と輸入牛が用意された時、僕はそれぞれに合った調理法を使って料理を作るでしょう。
さて、その調理中に和牛と輸入牛の味わいが全く逆転する、ということができるでしょうか?不可能ですよね。」



Q.確かにあり得ません。
              

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「地酒というと、経験豊かな杜氏が秘伝の技をぶち込んで旨い酒ができ上がっているイメージですが、Aという品種をBという品種にすることは、ぜったいにできないんですよ。まず、これを理解してほしい。」



Q.米というより、酵母の開発に注目されがちです。

「1980年から90年にかけて、ワインの世界も酵母という人的な開発が盛んでした。特に、ボルドーはすごかった。
しかし、品種のクオリティを補おうと人的なアタックで造られたワインというのは、短命だった、という経験をしたことがないでしょうか?開封直後は良かったけど、すぐにアレ?という感じになる。日本酒も全く同じで、セパージュを補った人的アタックのものは短命なんです。」


Q.米で選ぶだけで、日本酒の楽しみ方がぐっと広がりそうです。
               

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「日本酒は、銘柄だけで選ばれる傾向にあります。しかし、そうではないんです。米のヴィンテージ、セパージュ、精米歩合、そしてその下に造り手である僕らがいるんです。」



Q.銘柄をとりあえず無差別に集めた飲食店も多いですよね。

「生産者ばかりが前面に来ている選び方だと、出会っていたはずの素晴らしい酒を知るチャンスが狭い方向へ行ってしまいます。
何度も言いますが、どんな最高の技術を導入(人的アタック)しても、ヴィンテージとセパージュの個性をガラっと変えるのは無理なんですよ。」
           
              

まとめ

              
第3回では、久野さんに米について、そして酵母ではなく米を見つめてほしいというお話をお聞きしました。最終回の第4回では、米のヴィンテージについて、ドメーヌ クヘイジについてなどについてお聞きました。


【ご参考】

醸し人九平次 KUHEIJI 萬乗醸造


Domaine Kuheiji / ドメーヌ クヘイジ
               
               

関連コラム

            
・【第1回】「醸し人九平次」がフランスでワイン造り!15代目久野九平次さんが語る「日本酒もワインも同じ醸造酒」の真意とは!?

・【第2回】「醸し人九平次」がフランスでワイン造り!15代目久野九平次さんが語る「日本酒もワインも同じ醸造酒」の真意とは!?

・【第4回】「醸し人九平次」がフランスでワイン造り!15代目久野九平次さんが語る「日本酒もワインも同じ醸造酒」の真意とは!?    
            
             

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ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。
ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。
ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

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