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突撃リポート

【第2回】「醸し人九平次」がフランスでワイン造り!15代目久野九平次さんが語る「日本酒もワインも同じ醸造酒」の真意とは!?

              
日本酒もワインも、同じ。株式会社萬乗醸造の15代目久野九平次さんは語ります。

さて、ワインを愛飲している方も、久野さんと同様に日本酒とワインは醸造酒というところで同じくくりということは理解しているのですが、本音を言えば遠い存在なのではないか、と感じているかもしれません。

今回、日本酒とワインの共通点として、久野さんが面白い例えでお話をしてくれました。
            
                

「発酵の摂理は同じです」

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「日本酒とワインは、同じ醸造酒。同じ摂理、原理原則でしか出来上がってきません。」と、久野さん。

では、お互いのお酒の原料について見ていきましょう。

・日本酒→米、麹、酵母

・ワイン→ブドウ、酵母



日本酒とワインともに、共通しているのは酵母です。まず、話を進める前に酵母について久野さんに聞いてみました。
            
            

酵母について

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・酵母は“昆虫”?

「酵母は、目に見えない小さな生き物(微生物)なのでピンと来ない方が多いと思います。
例えば、もう少しスケールアップして“昆虫”くらいに酵母が大きくなったとしてイメージしてみましょう。昆虫は、甘くて美味しいものに沢山集まります。(人間もそうでしょ!?甘味と酸味のバランスのとれた果物に人は喜びを感じます)
つまり、ワインにとってブドウが大切なのは、良い土地で真面目にブドウを育てないと、昆虫が沢山集まるブドウに育たない、というわけです。ピノ・ノワール、シャルドネ、シラーなど、それぞれに集まる昆虫の種類が違うため、ワインの味わいに違いが出るのです。
フランスは地区で栽培されているブドウ品種がそもそも違うので、広く捉えると、地区で生育している酵母という昆虫が違うという捉え方も出来ると思います。」


・酵母はアルコール発酵に必要な“昆虫”

「収穫時のピノ・ノワールとシャルドネを目隠しをして食べたら、恐らくどちらがどちらか、わからないでしょう。酵母が関与してはじめて、これらから搾汁されたブドウジュースがアルコール飲料(ワイン)になるのです。
また、香りについてですが、アルコールの中に香りが存在します。女性の香水はアルコールの塊です。だからこそ香りを感じます。酵母によってアルコールがつくられないと、香りも造られないということです。」


・酵母という“昆虫”はブドウ糖しか食べられない

「大前提として、酵母はブドウ糖しか食べません。日本酒の酵母も、ワインの酵母もこのブドウ糖から“アルコールを造る”だけの仕事しかしなくて良い生き物なのです。
ワインは、果実にブドウ糖が含まれているのでブドウジュースだけで発酵がはじまります。しかし米はまだ溶けただけではデンプンです。一旦、麹の力でブドウ糖に変化させてアルコール発酵が行われます。」
            
              

ワインはブドウ、日本酒は酵母?

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酵母の働きについて簡単に理解できたところで、ここから「ワインも日本酒も同じ醸造酒」というところに戻りましょう。

ワインはブドウが重要だが、日本酒は酵母が重要である。こう思っている方も多いと思います。そのため、「原料を大切にするワイン」と「風味をコントロールできる日本酒」の二つの世界は似ているようで、遠い…と、捉えられてしまっているのかもしれません。

しかし、日本酒の主原料は?と問われると、一番先に「米」が皆さん浮かぶ筈です。酵母という“昆虫”だけでは、日本酒にはなりません。またワインにも、なりません。
卵が先か?鶏が先か?の話になります。太古の昔々から、大気中に酵母は、ウヨウヨいます。

“しかし酵母だけでは、発酵は始まりません。”
そこに、ブドウ糖の液体が存在していないと、発酵という現象は決して起きないのです。ですから、明らかに、“ブドウ糖の液体が先”です。そこに、ブドウ糖の液体が存在して初めて発酵という現象が起きるのです。

その理由を、久野さんに解説してもらいました。
               
               

アルコール発酵はドライブ

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久野さんは、アルコール発酵を「ドライブ」に例えます。

まず、こちらをご覧ください


☆日本酒の原料は米
「米はデンプン」+ 「麹の力で糖化しブドウ糖の液体に」ブドウ糖(ガソリン) +酵母(エンジン) → アルコールを造る。(発酵) 並行複発酵(糖化と発酵が並行して行われる)

☆ワインの原料はぶどう +ブドウ糖(ガソリン)+酵母(エンジン)アルコールを造る。単発酵(糖化させる必要がない。)


「アルコール発酵を今度はドライブに置き換えましょう! 私はドライバー。皆さんはお客さんです。皆さんを素敵なゴールにお連れしたいと、毎年ドライブに出発します。ワインは約二週間のドライブ、日本酒は一般的に30日間がドライブの日数です。その30日目をゴールとしたドライブというわけです。ドライブをするには車が必要です。
そこで、「ブドウ糖はガソリン、酵母はエンジン」と考えてみます。

そして、素敵なゴールを目指して車はスタートします。(アルコール発酵がスタート)。ドライブは快調でした、しかし25日目で車が止まるのです。本当は30日を目指していたのに!STOPした理由を調べて行くと、エンジンに異常なし。単純な原因です。ガス欠なのです。ガソリン(ブドウ糖)が足りなかった。本当は30日目までドライブしたかった。しかし、今回のドライブは、25日目で終了です。25日の景色と27日、30日で景色は違います。イコール、味・香が、違ってくるのです。どこで、ドライブが終了するかで!

16882※日本酒の場合は、仮に糖分を添加したら、ラベルに糖分添加の旨を書かなくてはいけないので、基本的には車が止まったらその時点でドライブは終了です。(純米にならない)
      
                

             
こんな置き換えも判り易いかも知れません。ブドウジュース・米ジュースを酵母が食べてワイン、日本酒になります。そのジュースを食べて酵母が生きていくんです。
その酵母という生き物が人生の中で何を食べるか?で、将来が変わってくると考えたら判り易いと思います。バランスよく食事をとると人間も健康的に生きて行けます。
その逆を考えたら・・・です。」
              
                

エンジン(酵母)に頼るだけのドライブは不可能?

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久野さんは、「どんなによいエンジン(酵母)を搭載しても、ゴールまで辿り着けるガソリン(ブドウ糖)が無かったり、エンジンにあった質のガソリンでないと意味が無い」と語ります。

スーパーカーに軽油を給油する人はいませんよね。

ブドウの場合、ブドウ自体がガソリンに直結するため、酵母ではなくブドウが語られますが、日本酒は酵母がもてはやされる傾向にあるため、どうしても米や麹が後に語られてしまいます。

「どんなガソリン(ブドウ糖)を作るかで、ゴールが変わるのが醸造酒。日本酒も同じで、麹の作り方によって米にかかるアタックが変わります。
原料米のセパージュや精米歩合、ヴィンテージが同じでも、麹のつくり方が違えば米へのアタックがかわり、それぞれにガソリンに違いが生まれます。(麹は各蔵で造り方が違うのです)
つまり、酵母だけを主に置いて、ヴィンテージもセパージュも精米歩合も麹も関係なく目指すゴールを迎える日本酒が造れる、ということはあり得ないんです。」
            
日本酒の場合、20世紀後半から酵母の開発が進みました。その流れで「吟醸酒」というジャンルも皆さんに身近になりました。それ故、どうも酵母目線が優先された日本酒のイメージになったのかもしれません。
(実はワインも時を同じくして酵母の開発が盛んになります)
               
                

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しかし、久野さんも実際にフランスを訪れて感じたことは、日本酒以上にワイン酵母開発は進んでおり、市販されている培養酵母の数も日本酒の比ではないと言います。
ただ、ワインの造り手たちは、この「ガソリン(ブドウ糖)」が重要であることを理解しているからこそ、酵母について語らないという傾向のあるのではないか、ということです。
(酵母は、2番手の存在という事を良く理解している)

日本酒もワインも、ガソリンが重要。同じ摂理、原理原則で造られている、という答えはまずこの部分にあるのです。
              
               

まとめ

              
第2回では、久野さんにアルコール発酵をドライブと仮定し、わかりやすくその原理原則についてお話いただきました。第3回では、米について語ってもらっています。


【ご参考】
醸し人九平次 KUHEIJI 萬乗醸造

Domaine Kuheiji / ドメーヌ クヘイジ

            
             

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