【素朴な疑問】ワイン博士 清水健一さんに聞きました!白ワインは何で低温発酵なのか?|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

突撃リポート

【素朴な疑問】ワイン博士 清水健一さんに聞きました!白ワインは何で低温発酵なのか?

              
ワインについて、わかっているようで、よくわかっていない。
ワイン初心者はもちろん、愛好家の中でもこういった悩みを持っている方が多いようです。

自分で文献を調べるほどのことでは無いが、人に聞くのもちょっと億劫だ。
こうなると、永遠にその疑問と対峙せず、分かったふりで過ごしていくことになりかねません。

そこで、カーヴでは今後、こういったワインの素朴な疑問を『ワインの科学』の著書でワイン博士こと清水健一さんに聞いていこうと思います。

今回は、「白ワインはなぜ低温発酵させるのか」「白のビオワインは難しい?」「クールクライメットに合う品種は?」といったラインナップでお届けします。

ワイン初心者の方はもちろん、ワインをちょっと詳しく学んでみたい方もぜひご覧ください。
              
               

今回お話しを伺った方

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『ワインの科学』の著書でワイン博士こと清水健一さん

                

白ワインはなんで低温発酵させるの?

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Q.白ワインの発酵は、なぜ低温で行われるのでしょうか?

「白ワインを低温で発酵させる理由はたくさんありますが、まず理由のひとつが“香り”の問題です。
発酵中、アルコールと酸が反応して“エステル(良い香りの場合が多い)”という化合物が生成されます。
本来、このエステルは常温発酵の方が作られる量が多いのですが、常温発酵では、比較的高い温度による蒸発と盛んな発酵による揮散によって、結局かなりの部分がロスされてしまいます。」
                  
                  

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Q.確かに、エステルが多く生成されてもそれでは意味がありませんね。

「あとひとつが、ブドウのアロマ
アロマ成分も揮発性のものが多いため、エステルの場合と同様に、常温発酵させてしまうと、どんどんアロマが飛んでいってしまいます。
白ワインを低温発酵で造るとアロマやエステルのロスが少ないので、それらの成分に富んだフルーティーなワインになるわけです」
               
               
                 

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Q.酸化の問題も関連しますか?

「発酵中はわりと還元的になっていて酸素が関与しない場合が多いので、そこまで心配することはありません。ただし、造った後は酸化に注意する必要はあるでしょう。」


Q.ほかに何かありますか?

「あと、常温で発酵させると硫化水素、メルカプタンやジスルフィドなどが発生しやすくなります。これらの香り成分はワインにとってネガティブですので注意が必要です


Q.となると、わざと高温で造るような白ワインは…?

「わざと高めの温度で造るような白ワインは、ほとんど無いですね。」
              
               

ビオワインについて

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Q.近頃、白ワインでも多くのビオワインを見る機会が増えました。

「あまり良いものは、ありませんね。もちろん、中には素晴らしいものもありますが。」


Q.白ワインの場合、赤ワインに比べてビオワインは難しいのでしょうか?

「先ほどお伝えしたように、白ワインは低温で造られますが、それが逆にリスクになっています。条件によっても変わりますが、白ワインは12℃から18℃で発酵させるのが一般的です。
実は、酸素は低温の方が溶けやすく、低温発酵だと酸素がワインに入りやすい状況になっているんです。」
              
               
                

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Q.赤ワインに比べて、酸化しやすくなってしまうんですね…。

白ワインはポリフェノールが少ないので、抗酸化力が弱く、低温発酵の場合、溶け込む酸素と低温による比較的長期の発酵期間のために酸化しやすいわけです。
白のビオワインには色が悪いものも多く散見されますが、こういった理由もあるのではないでしょうか。」


Q.やはり、白のビオワインは難しいんですね。

「中には、栽培の管理、醸造の勉強などをしっかりとした、良い生産者もいますよ。まあ、ごくごく一部ですが…。」
                 
                

クールクライメットや土壌について

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Q.近年、気温が低い環境(クールクライメット)でブドウ栽培が盛んです。

「ワイン用ブドウは、クールクライメットに適したものが多いのが特徴です。品種によって違いはありますが、例えばピノ・ノワールやリースリング、ゲヴュルツトラミネル、ソーヴィニヨン・ブランは寒い場所の方が、品質が高いですね。」


Q.寒ければどんな品種でも良いわけではないですよね?

「そうですね。ネッビオーロやジンファンデル、サンジョヴェーゼなどは、比較的気温が高い場所の方が良いと言われています。逆に、ピノ・ノワールやリースリングなんかは、ちょっと温かくなるともうダメですね。やはり、ブルゴーニュ、ライン、モーゼル、アルザスなどの冷涼な産地が適しています。」
              
            
             

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Q.同じ品種でも気温によって違いが出ますか?

「例えば、カベルネ・ソーヴィニヨンなどは、ちょうど中間に位置する品種です。例えば、ボルドーは比較的寒いですが、ナパなどは温かいですよね。カベルネ・ソーヴィニヨンの場合、メトキシピラジンの一種が関与する、“ピーマン香”が発生することがありますが、これはクールクライメットでないと出ない香りです。
つまりボルドーでは感じやすく、ナパでは感じにくい、ということになります。」
              
                
              

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Q.ちなみに、土壌はやはり水はけが重要なのでしょうか?

「ワインの場合、水を溜める土壌は適しません。また、ボルドーの右岸は粘土が入っているので、カベルネ・ソーヴィニヨンではなく、メルロに良いというように、その土壌組成によって適したブドウ品種も変わってきますね。
ただ、一般には、水はけが良ければ良いほどいいと考えられます。水が不足すれば、そこに、ドリップ灌漑すれば良いですからね。水分を取り出すのは難しいですが、あげるのはできますから。」

Q.となると、工場などで土壌を造ってしまうのもアリでしょうか?

「まあ、それもできるかもしれません。ただし、ブドウの根は地中2-3メートル以上張ることが多いので、最低でも3-5mほどは土壌を変えなければいけません。少しコストがかかり過ぎてしまいますし、非現実的でしょうね。」
                  
               
               

今後について

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Q.今、どのような活動をしているのでしょうか。

「コンサルティングですね。まず、今進んでいるプロジェクトのひとつがワイナリーの立ち上げです。
頼まれて、軽井沢にワイナリーを造ります。来年免許を取得し、秋頃にはスタートしたいと考えています。」
               
                

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Q.新ワイナリーとは楽しみです!

「また、もうひとつ私が関与しているのが、今年5月に山梨県韮崎市にできる(株)カサピノジャパンのワインのボトリング工場です。
ワイン専門のボトリング工場で、最新鋭の設備を整えて、海外から輸入したバルクワインをボトリングする予定です。」

Q.それはどんなワインなんですか?

「まず、海外の生産者が造ったワインをそのまま工場に輸入し、亜硫酸調整以外は何も手を加えずにボトリングします。そのため、たとえば、オーストラリアで造られたワインに手を加えずにボトリングすれば、オーストラリアワインとして売ることができるわけです。」

Q.これは、面白いことになりそうですね。

「今のところ、アルゼンチンとチリ、オーストラリア、フランス、スペインのワインをボトリングして販売する予定です。個人的には、今後スペインのワインが面白いと思っています。


取材を終えて

                  
今回、素朴なワインの疑問に清水健一さんにお答えいただきました。

ワインを購入する際、インポーターや販売元、生産者がアピールしていることの中に、分かっているようで分かっていないことも沢山あると思います。

今後も、素朴な疑問をいろいろと発酵の専門家でワイン博士こと清水健一さんに聞いていきたいと思います。

ちなみに、清水さんは栽培農家のこだわりの米だけで醸す日本酒一粒一水の醸造監修も手掛けられていますので、そちらにも注目してみてください。


              
                

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ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

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