亜硫酸がワインとシーフードとの相性を悪くしていた?白ワインと清酒のシーフードとの相性の研究結果が興味深い!|カーヴ(Cave) -ワインがもっと楽しくなる!日本最大級のワインのレビューサイト

豆知識

亜硫酸がワインとシーフードとの相性を悪くしていた?白ワインと清酒のシーフードとの相性の研究結果が興味深い!

winomyキャンペーン

              
以前、「ワインと魚介で感じる生臭みは『鉄分』だった?」という内容のコラムを紹介しました。(コラムはこちら

鉄分や不飽和脂肪酸、過酸化渡合いなどが、ワインと魚介を合わせた時に発生する生臭みの原因である、ということでしたが、その後に行われた研究で非常に興味深いものを発見しました。

それが、「白ワインと清酒のシーフードとの相性-亜硫酸が生臭いにおいと不快味の生成に及ぼす影響-」という、(独)酒類総合研究所による研究です。

「亜硫酸がシーフードとワインの相性を悪くさせているのでは?」という内容のこの研究。
ユニークな切り口で、それを科学的に証明しているところが好奇心をくすぐります。

今回、こちらを簡単にまとめてみましたので、ぜひ今後の参考にしてみてください。
             
               

するめと白ワインの相性は悪い?

15353              
今研究は、(独)酒類総合研究所と日本酒酒造組合中央会との共同研究として実施されたもので、白ワインと清酒などが試験用として数本使用されています。

また、研究者らは、酒とシーフードの食べ合わせにおいて、生臭いにおいが生じること、以前行われた官能評価で定量的に示された結果を踏まえた上で、“苦み”や“渋み”が増加し、“旨味”が減少したものを、「相性が悪い」と定義しました。

まず、研究者らが始めに取り組んだのは、するめと白ワイン、及び清酒の相性です。

官能評価を行うパネリストに、0.5gのするめ(市販品)を口にふくませた後、白ワイン3点、清酒3点を15ml飲んでもらい、苦みや不快味の強度、生臭みの強度についてラベルドマグニチュードスケールで評価させました。
             
              
              

15365                 
何となく想像ができますが、結果やはり清酒よりも白ワインの方が全体的に苦み・えぐ味などの不快味、生臭いにおいが強く感じられたという官能評価に。

ちなみに、魚類の生臭みは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの、多価不飽和脂肪酸がリポキシゲナーゼや自動酸化などによって酸化された場合、カルボニル化合物が生成され、これが独特の生臭みとなる、ということが報告されています。

つまり、DHAやEPAが何らかの影響で酸化してしまうと、独特の臭みが生成されてしまう、ということなのですが、“するめ”にはこの多価不飽和脂肪酸は多く含まれており、これが白ワインの何かと反応したのではないか、と研究者らは考えました。

この多価不飽和脂肪酸が、今研究の重要なキーマンになっていきます。
              
                 

多価不飽和脂肪酸が原因?(不快味)

15355               
DHAやEPAは、n-3系不飽和脂肪酸の種類のひとつで、するめはもちろん、あんこうのキモ、さけ、まぐろの赤身など、多くの魚介類に含まれている脂肪酸です。

この多価不飽和脂肪酸に目をつけた研究者らは、白ワイン4種(A,B,C,D)と清酒3種(A,B,C)、エタノール水のそれぞれに多価不飽和脂肪酸(DHA)を添加し、味覚センサーを用いた味の変化とにおい成分の変化を分析しました。

すると、DHA添加された白ワインのうち、A,B,Cは顕著に苦みが増加し、後味としても残ることがわかりました。
ちなみに、ワインD、清酒、アルコール水はこれといった変化は確認できなかったようです(ワインDについては、後でその秘密がわかります)。

EPAやリノール酸(n-6系不飽和脂肪酸)を添加しても同様の結果が得られたことから、不快味の一部分として不飽和脂肪酸が関連していることが分かりました。
             
                

多価不飽和脂肪酸が原因?(生臭いにおい)

15357               
研究者らは次に、におい成分の変化を分析しました。

以前行われた研究方法に従って、ワインや清酒、アルコール水のそれぞれヘッドスペースのカルボニル化合物を固相マイクロ抽出ファイバー上にて、PFBOA(ペンタフルオロベンジルヒドロキシルアミン)誘導体化し、GC/MSに供します※。

※PFBOA誘導体は、生臭さに関連するカルボニル化合物の構造や性質を大きさを大きく変化させずに改変された化合物で、それを利用して多価不飽和脂肪酸を添加した後の香りのピークは何だったのか、ということをチェックした、ということ…

すると、ワインA,B,CのみがDHAの添加後、PFBOA誘導体のピークが増加。

ちなみに、不快味の時と同様に、これ以外のワインと清酒などにはこれといった反応が見られなかったようです。

ちなみに、プロパナール、ヘプタジナール、ヘプタジナールなどといったアルデヒドがピークを出したようですが、これらは…「アルコール様」「海岸様」「酸化した油様」「キュウリ様」「昆虫様」などの特徴的なフレーバーを有することで知られており、ケトンや他アルデヒドと同様に生臭みに寄与する成分として報告されているようです。

昆虫様なんて、ちょっと厳しいですね…。

この研究の結果、ひとまず多価不飽和脂肪酸がワインと多価不飽和脂肪酸を多く含む魚介との組み合わせを悪くしているのではないか、ということを研究者らは突き止めたのです。
               
               

ワイン中のどの成分が生臭みを誘因しているのか?

              
さて、今研究を取り上げた本題はここからで、ワイン中のどの成分が生臭みを誘因しているのか、という部分です。

研究者らは、それを明らかにするために、清酒にワイン中に含まれているさまざまな成分を添加していきました。

リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、鉄、カテキン…など、ワインでお馴染みの成分ばかりです。

前述したように、今研究には数本の白ワインと清酒などが使用されていますが、ここでは、ワインBの成分に近づけるように少しずつ、清酒Bに成分を添加していったようです。
                
                 

亜硫酸が反応!?

15358                 
いろいろとワインの一部成分を清酒に溶解させていった研究者ら。

なんと、ピロ亜硫酸カリウム(一般的に亜硫酸は、ピロ亜硫酸カリウムの形で使われていることが多い)を清酒Bに溶解した時、DHA添加によってアルデヒド類と味覚センサーの苦み応答の両方が増加したのです。

亜硫酸は基本的に清酒には入っていませんが、ワインの場合、殺菌や酸化防止目的のために使用されるのが一般的です(酵母の代謝物としても生成されるので、無添加で造ってもちょっとだけは入ってしまう)。

ピロ亜硫酸カリウムにはカリウムが含まれるため、清酒Bにリン酸二水素カリウムを溶解させ、DHA添加を行いますが、アルデヒド類と味覚センサーに反応はこれといってありません。

実は、前出しているワインA,B,Cには一般的な亜硫酸量が含まれているのですが、反応が小さかったワインDは微量の亜硫酸しか含まれていなかったのです。

この結果を受けて研究者らは、全ての要因とは言えないが、シーフードと白ワインの組み合わせで不快味、生臭いにおいを生じさせるのは、亜硫酸ではないかと考えたわけです。
                
                  

亜硫酸が何をするの?

15360               
では、亜硫酸は多価不飽和脂肪酸にどのような影響を与えているのでしょうか。
ここからは、少々難しいので、読み進めるのが面倒な方は、このセグメントは飛ばしてください。


まず、多価不飽和脂肪酸は2つ以上の二重結合を持っており、保存、調理加工の工程で酵素反応、非酵素的な自動酸化によって酸化されやすいとされています。

結果、脂質ヒドロペルオキシド(LOOH)が生成されますが、とある報告(※)によると、リノール酸ヒドロペルオキシドの分解が白ワインや赤ワイン、0.5mMの亜硫酸ナトリウム水溶液によって促進されることが示唆されています。
(※)Nishiike, T., Iwanaga, T., Yamauchi, R., Taka- mura, H., Matoba, T.: J. Home Econ. Jpn., 51 , 1137 - 1143 ( 2000 )


亜硫酸は、強力な還元活性があり、その活性によってリノール酸ヒドロペルオキシドがアルコキシラジカルに還元されるのでは、と推測されているようです。

そして、アルコキシラジカルなのですが、β-開裂反応などの影響で、アルデヒドなどの二次生成物になります。

さきほどお伝えしたように、アルデヒドは生臭みを感じさせるにおいに寄与する成分です。

結果、研究者らは亜硫酸が多価不飽和脂肪酸の酸化と分解に及ぼす影響として…

多価不飽和脂肪酸



ヒドロペルオキシド

★亜硫酸がレドックス分解を促進!



アルコキシラジカル



★β-開裂反応など



カルボニル化合物(アルデヒド、ケトン等)

となるのでは、と推測しています。

また、厄介なことにアルコキシラジカルは反応性に富むため、他の多価不飽和脂肪酸から水素原子を引き抜き、脂質酸化反応の開始剤になってしまうとのこと。

亜硫酸が、ヒドロペルオキシドからアルコキシラジカルへの還元を促進しているわけですから、さらに不快味や生臭みを促進することになってしまいます。

少々、分かりにくい部分がありますが、これが研究者らが考える亜硫酸の影響ということです。
              
              

亜硫酸濃度は関係無い…?

             
さて、亜硫酸が白ワインと多価不飽和脂肪酸を多く含むシーフードとの相性を悪くしているという推定が出たわけですが、研究者らは亜硫酸濃度による苦み、アルデヒドの増加の影響も調べています。

前述したように、白ワインDはもっとも亜硫酸が含まれていないので、影響が小さかったようですが、もっとも亜硫酸(遊離亜硫酸量)が多かったものの、ほかA、Bよりも苦みや生臭いにおいに関係する数値は低かったと報告しています。

論文内では、亜硫酸が関係していることは確かだが、その濃度に依存するわけではなく、ほかのワイン成分が反応に影響を及ぼしている可能性がある、と伝えています。
              
                  

亜硫酸無添加ワインの方が相性が良いかも?

15354                
最後に研究者らは、亜硫酸を添加したワインと、亜硫酸無添加ワインの2つで官能評価を行っています。

パネリスト26人に、1〜1.5gの焼アジ(多価不飽和脂肪酸は豊富)を食べてもらい、15mlの亜硫酸添加ワイン、亜硫酸無添加ワインをそれぞれ飲んで評価させました。

すると、亜硫酸無添加ワインではなく、亜硫酸添加ワインの方が相性が悪いという人数が有意に多いことが示唆されました。

となると、シーフードを食べる場合、できるだけ亜硫酸の使用量が少ないワインの方が相性が良いかもしれませんが、亜硫酸添加ワインの方が相性が悪く無いというパネリストも一定数いたようなので“亜硫酸が諸悪の根源だ”と断言するのは難しいでしょう。
               
               

何を合わせると良いか、科学的に考えるのも面白い

            
亜硫酸無添加ワイン(ヴァン・ナチュールなど、微量しか添加されていないものもふくめ)は、まだまだ市場ではマイノリティであり、デイリーに飲むワインの多くは品質保持のために多くの亜硫酸が使用されています。

研究者らは、タラやエビ、カニなどは多価不飽和脂肪酸が少ないため、それらと白ワインの相性が良いことも関係して、「魚にはワイン」と言われてきたのではないか、と推測しています。

また、調理法によっても変わってくるため、まだまだ答えを出すには時間がかかりそうな問題です。

近年、和食系の飲食店でも、白ワインが多くラインナップされており、多価不飽和脂肪酸が多いシーフードとの組み合わせも推奨されています。
そんな時はできるだけ亜硫酸が少ないワインを選ぶべきか、気にしないべきか、清酒を選ぶべきか…。

どの料理と、どんなワインを選ぶかは個人の自由ですが、科学的な知識を仕入れてから選んでみるのも楽しいのではないでしょうか。


【ご参考】
白ワインと清酒のシーフードとの相性-亜硫酸が生臭いにおいと不快味の生成に及ぼす影響-


              
              

caveおすすめのワイン
  • 黒ブドウ品種であるピノ・ネロ(ピノ・ノワール)種を100%使用した、とても珍しい白ワインです!
    化学肥料等を使用せず、ワインに使用する酸化防止剤もできるだけ低く抑えたワイン作りが行われており、フルーティーで白い花の香りが口の中いっぱいに広がり、とても上品な味わいに仕上がっています。
    黒ブドウ品種であるピノ・ネロ(ピノ・ノワール)種を100%使用した、とても珍しい白ワインです!
    化学肥料等を使用せず、ワインに使用する酸化防止剤もできるだけ低く抑えたワイン作りが行われており、フルーティーで白い花の香りが口の中いっぱいに広がり、とても上品な味わいに仕上がっています。
  • 「ペルポーリオ=上品、洗練されている」というワイン名にふさわしい白ワインです!
    亜硫酸添加を最小限に抑えて作られており、シャルドネ100%ながら飲み口がすっきりしていてクセがなく、果実の美味しさを感じる上品な味わいに仕上がっています。
    「ペルポーリオ=上品、洗練されている」というワイン名にふさわしい白ワインです!
    亜硫酸添加を最小限に抑えて作られており、シャルドネ100%ながら飲み口がすっきりしていてクセがなく、果実の美味しさを感じる上品な味わいに仕上がっています。
CAVE THE SELECT
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。

関連記事