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突撃リポート

【インタビュー】美しき焼酎の発酵音!聴覚にスポットを当てた新しいお酒の楽しみ方が面白い!

お酒の音、と聞いてどんなものをイメージするでしょうか。グラスに注がれている時の音、グラスの中で氷同士がぶつかり合う音、喉奥へ液体が通る時の音…。
それらのイメージは人それぞれだと思いますが、よく考えてみると、我々飲み手はお酒の音にさほど関心が無いような気がします。

ワインを含め、お酒は生き物であり、その製造過程や熟成過程においても、何かしら“音”を出しています。
実は、そんなお酒の音に着目した「発酵音による焼酎の感性ブランド価値の創出」というプロジェクトがあり、先頃なんと!焼酎の発酵音が聴けるようになっただけではなく、レコードまでも制作したというユニークなニュースが飛び込んできました。

今回、「発酵音による焼酎の感性ブランド価値の創出」プロジェクトについて、また焼酎の「発酵音」を手掛けた、小野村 頼子さんにお聞きしました。

ついに、お酒は音でも楽しめる時代に…。ぜひ、楽しみながらお読みください!
          
                

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Sho-Chuプロジェクト事務局長
小野村 頼子(おのむら よりこ)さん
               
                

Q.焼酎の発酵音に着目した理由はなんでしょうか?

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「焼酎はこれまで聴覚にスポットを当てたブランディングはなされてきませんでした。
人間には五感という素晴らしい感覚機能があります。これらは単独ではなく、様々に組み合わされて機能します。
特に『音』に関しては、癒しの効果や脳の潜在気分(快・不快)に大きく影響し、無意識の行動に強く関与するなど無限の価値が眠っています。

『焼酎のイメージ音は?』を考えた時に、このリアルサウンドである『発酵音』を用いることで、焼酎の神秘的な新たなブランドイメージが創出されるのではないかと思いました。
そして『焼酎』=『発酵音』としてのイメージづけが発酵音のサウンドロゴとしての価値を見出せるのではないかと思います。」
              

Q.一次仕込み、二次仕込み双方の音をサンプリングしたのでしょうか?

              
「両者とも音録りをしております。
二次仕込みで主原料である芋や麦、米、胡麻などをいれるので、主原料による音の違いは2次仕込みのほうがあると思っていました。それで2次仕込みを中心に発酵音を録ってきました。

しかし、最近はいろんな麹菌を使って焼酎造りを始めています。
そのために一次仕込みの音もそれぞれの発酵音の違いがあるのではと思っており、可能な限り一次仕込みの音も録るようにしています。麹が培養されている音も取れると面白いと思っています。」
         

Q.どのように録音したのでしょうか?

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「食品の中に入れても大丈夫なようにきちんと養生をした水中マイクを使用しています。
発酵タンク(甕)のなかにヘッドフォンで音をモニターしながら2本のマイクの位置と高さを変えて同時に録音しています。
ステンレス棒は発酵タンク内部の温度が上昇し対流が起きるため流されないようにきちんと固定します。各蔵で使用する麹等が異なるため、養生に使用するステンレス棒は他の蔵の菌が入らないように新しいものを使用するなど細心の注意を払って録音をしています。」
              

Q.芋・麦・米・胡麻など、原料によって発酵音の違いあるのでしょうか?

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原料によって異なる波形の様子。
芋(左上)、麦(右上)、胡麻(左下)、米(右下)
   
               

「全く音は異なります。水中マイクを通して耳で聴いても違いははっきりわかりますが、波形を見ても周波数域が全くちがいます。
※コラム最下部にそれぞれの音源をまとめておりますので、ぜひご確認ください!

特に芋は低音域がひろく、ズシンと来る音です。米、麦などは中・高音域中心に響いています。
仕込み日数、甕(タンク)の形状や材質、タンクに入れるマイクの位置、および本数、外気温、原材料など、色々な要因で音は変わってきます。
魅力的なのは同じ音は二度と録れないということです。発酵という工程の中で醸し出される微生物の力をかりた『発酵の息遣い』だからでしょう。」
              

Q.個人的に、どれも神秘的で美しい音と感じました。小野村さまはどうでしょうか?

「どの音も甲乙つけがたいほど、素敵な音です。
一人で集音作業を行っていますが、ヘッドフォンから聴こえてくる発酵音を何時間聴いていても飽きることはありません。それは同じ音がないからでしょう。
タンク内部では発酵状態が動いています。その動きに躍動感があり、音が『生きている』という実感を得ることが出来ます。そして甕の中に自分自身がいるような感覚になり、次第に音に引き込まれるような錯覚を覚えます。」
              

Q.この音を聴いていると、不思議な感覚になりますね。

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「どの蔵にもそれぞれの特徴があります。
宇宙に行ったことはないのですが、空間的には宇宙を連想させるような感じで、タンクの中に沈むと新しい生命が生まれてくる状況を目の当たりにできるのではと思うくらいです。

時々蔵人に音を聴いていただきますが、皆さん初めて聴く音だと言われ、びっくりされます。2次仕込み、2日目、3日目は盛んに表面も発酵しているのですが、内部の音は想像できないくらいの激しい音です。激しい音には生命のエネルギーを感じます。
発酵が落ち着いてくると音に安らぎを覚えます。産科専門医に発酵音を聴いていただいたときは赤ちゃんが子宮の中で聴いている音によく似ていると言われました。」
              

Q.レコード制作も行ったようですが、その理由をお聞かせください。

「レコードは音楽信号を“アナログ”のまま記録したものであり、CDなどデジタルデータを記録したものとはちがいます。より原音に近いと言えます。
CDは片面ですが、レコードはA面とB面を入れ替えて聴く手間がデジタルの便利さに潜む無機質さと対極にあり、これこそが五感に訴える魅力となるのではないかと思います。」
                   

Q.レコード好きの友人がジャケットを絶賛していましたが…

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「ジャケットはいろんなデザインを楽しむことができます。アート性であったり、飾る楽しさや触れる楽しさ、所有する楽しさなど、インセンティブマーケティングとして高い効果が期待できると思っています。特に手間をかけて作る焼酎とは共通するものがあると思っています。

現在、若い世代の方々がレコードを新しいものとしてとらえ、レコードの魅力にはまっていく人が増えていると聞きます。
そういう人々こそインフルエンサーとなり、発酵音を拡散させてくれる可能性を持っています。こういった理由でレコード制作は意義のあることだと思います。」
            

Q.今回集音された発酵音には癒し効果もあるのでしょうか?

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「心理テストとしてよく用いられるHAM‐Dテストを参考にアンケート調査を行いました。
結果は若い世代に受け入れやすく、癒しの効果があることが示唆されました。また、ストレス指標の一つとして唾液アミラーゼ測定を行いましたが、結果は発酵音はストレス改善に有用だという結果を得ることが出来ました。
さらに、ストレススキャンアプリを使用してストレス測定を実施してみましたが、いずれも発酵音試聴後にストレス指数の低下が確認できました。」
          

Q.今後、焼酎の発酵音によるこの取り組みはどのように焼酎業界に影響を与えていくと思われていますか?

「発酵音というリアルメッセージを通じて焼酎の持つ癒しの本質が伝えられることにより、改めて焼酎を飲むことの意義や焼酎を作る側にも再考する機会を与えられるのでは思っています。

2008年からの市場縮小への対応として、新たなマーケティングとブランド力の向上が求められています。
つくられたイメージではなく発酵音というリアルサウンドによる新たなブランディングの構築は、まさにこうした時代の要求に応えるもので、本格焼酎のコマーシャルメッセージに対する考え方と手法が新たな時代を迎えるきっかけになるのではないかと期待しています。」

              

取材を終えて

今回、焼酎の発酵音ということでお話をお聞きしましたが、ワインや日本酒、ウイスキーなど、さまざまなお酒においても可能性がありそうなアプローチです。

発酵中の幻想的な音を耳にしながら、生まれた酒を飲む…。なんと、素敵な飲み方なのでしょうか。ぜひ、皆さんもこの音を聴いてみてください。

そして、その音の美しさを楽しんでみてください。

きっと、驚き、焼酎はじめお酒のイメージが良い意味で変わるはずです。CAVEでも、音か知る焼酎の世界の活動を今後も追い続けていきたいと思います!

【ご参考】
SHO-CHUプロジェクト

【お問い合わせ先】
yorisan8484@gmail.com
                   

CAVE THE SELECT
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【各焼酎の発酵音源】

                
・芋焼酎


 
                  
・麦焼酎


 
                    
・胡麻焼酎


                      
                    

・米焼酎

 
 

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ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

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