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突撃リポート

【第3回】ワインを飲んだら仲良くなれる理由が判明!?レスベラトロールとオキシトシンの関係性を矢内隆章さんに聞く!

第1回、第2回と、非常に興味深いお話を聞くことができました。最後に、オキシトシンについて、さらに今後の展望などについても聞いています。

     

Q.社会性行動の改善となると、飲み過ぎてしまいそうですが…

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「あくまで適量を守っていただく、ということが前提ですので注意してください。

ちなみに、レスベラトロール関連では、こんな報告もあります。
それが、『青年期のラットへのオキシトシンの投与は不安状態とアルコール消費を低下させ、社会性を増強する』※1というものです。」
※1 PLoS ONE 6(11):e27237, (2011)

     

Q.オキシトシンには、そんな作用もあるのですか?

「これまでの研究で、オキシトシンの投与は哺乳類の社会性や不安様の行動※2を調節し、その効果はオキシトシンの投与後にも持続して見られることが示唆されています。
そして、本報告では、動物の発達で重要な時期である初期青年期のラットに継続してお腹に投与したオキシトシンが成長後の生理や行動に影響を与えるかについて検討が行われています。

※2 ヒトで見られる不安行動に似た行動のことで、ヒトで効果を示す抗不安薬によって抑制されます。

       

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まず、この研究では出生後33日から42日の初期青年期のラットへ、1mg/kgのオキシトシンを毎日、10日間腹腔内に投与しました。
オキシトシンの投与終了後8日後の出生後50日目のラットは不安様行動の低下が見られ、さらに55日目になるとこれと関連して、社会的相互行動※3の著しい高まりが見られました。
さらに、63日目のラットは血清オキシトシンレベルが増加傾向にあり、視床下部のオキシトシン受容体メッセンジャーRNA(mRNA)※4も上昇していました。」

※3 個体(やグループ)間の動的に変化する一連の社会的行為であり、その個体は相互作用のパートナーの行為への反応として自らの行為を変化させる。すなわち社会的相互作用とは、マウスなどの動物や人々がそれぞれ自分の置かれている環境(※※)に意味を持たせ、他者が意味しているものを解釈し、それに応じて反応する事象である。
※※自らが属する社会における他の個体との関係や自己の生存や生殖に関わる全て。

※4 メッセンジャーRNA(mRNA)、または伝令RNAとも呼ぶ。DNAを写し取るためのRNA。

     

Q.よく知られているオキシトシンの作用は確認できていますね。

「次に、出生後72日目から97日目の初期成体期のラットにアルコールを24時間自由に摂取可能な状態に設定した試験を行ったところ、オキシトシンが投与されていないラットと比較して、オキシトシンが投与されたラットではアルコール摂取量の減少が見られたのです。

この結果から、初期青年期でのオキシトシンの投与は、青年期での不安を低下させ、成長後に不安状態に関連して生じる可能性のある、過剰なアルコール摂取を抑制することができることが示されたわけです。

さらに、アルコールの過剰摂取者を対象とした前臨床試験では、鼻腔内へのオキシトシンの投与により、社会的知覚の改善とともにアルコール摂取の欲求性が減少することが報告されており※5、アルコール依存症患者においてオキシトシンの治療的な可能性が示唆されています。
※5 J Addict Med. 2016; 10:182-9

     

Q.赤ワインの場合、レスベラトロールも含まれているため効果的かもしれませんね。

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「このオキシトシンの効果を高める作用を有するレスベラトロールを多く含有している赤ワインの場合、アルコールの過剰摂取を抑制することはもちろん、必要以上飲酒しないことなど、自らの社会性の維持に寄与する可能性がある、と考えられます。」

     

Q.レスベラトロールとオキシトシンとの関係性は注目されそうです。

「今回、気の合う仲間と楽しいことを共感したいなど、アルコールだけの効果ではなく、有効成分として含まれるレスベラトロールにも、このような生理効果を促進する効果を見出すことができました。

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レスベラトロールには、相互理解※6、社会性、コミュニケーション能力を高める可能性があることが分かってきました。
これらの知見から、ワイン以外にも、レスベラトロールを含む(機能性)食品などの開発において、鬱病や自閉症症状などの改善を促す、日常的な食生活の提案にも結びつく可能性を示すことができた、と考えています。」

※6 相手から発信されるメッセージからだけでなく、相手の立場や気持ちになって相手への理解を深めること。

      

Q.新しいレスベラトロールの可能性が見えてきましたね。

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「レスベラトロールがなぜ、ここまで健康効果に関与するのか、というのは、長寿遺伝子として知られるSIRT1が関係しているのではないか、と考えられています。
メタボリックシンドロームや心臓病の予防など、寿命を延ばしたり、さまざまな効果が示唆されていますが、本研究結果でこの部分に、『社会性』を含めることができたのではないかな…と、個人的に思っています。」

     

Q.今後の展開が何かあればお聞かせください。

11056「本研究によって、レスベラトロールが社会行動改善に関与することを示すことができました。

今後は、レスベラトロールの数多くの健康機能に関する啓発的な活動とともに、ワインや果汁中のレスベラトロールをさらに高める技術の開発とそのアウトプットとなる商品開発を行っていきたいと考えています。」



     

取材を終えて

最後に、男女間にレスベラトロールにおけるオキシトシン受容体の増加の差はあるのか、ということをお聞きしてみました。
授乳期のマウスの事例が紹介されたように、その置かれた環境によっては、女性の方が男性よりもオキシトシン分泌量増加、受容体増加は見込まれるのではないか、ということです。


今回、「レスベラトロール(RES)の社会行動改善効果」についてを、キリン株式会社 R&D本部ワイン技術研究所の矢内 隆章さんにお聞きしました。
ワインを飲むことで、知らない人とも仲良くなれる。今回のお話で、個人的な長年の謎が、ひとつ解き明かされたような気がします。

是非、皆さんも今後、「オキシトシン」を意識しながら、ワインを楽しんでみてはいかがでしょうか?


    

矢内隆章氏プロフィール

10730矢内 隆章 <Takaaki YANAI>

キリン株式会社 R&D本部 ワイン技術研究所

<略歴>
昭和62年筑波大学大学院環境科学研究科修了
同年三楽株式会社(現メルシャン株式会社)入社
平成13年東京大学大学院農学生命科学研究科より博士号(農学)取得
平成28年キリン株式会社R&D本部ワイン技術研究所、現在に至る。

【ご参考】

・キリン HP
・キリン株式会社 R&D本部 ワイン技術研究所 HP


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ナカゴミ コウイチ

ナカゴミ コウイチ

山梨県出身、甲州ワイン育ちのフリーライターです。ラジオ関係、ファッション関係のライティングをしながら、大好きなワインのお仕事も精力的に行っています。ワインは日常的に楽しむ飲み物であるということを広く伝えて行くために活動を続けています。

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